第11話 次なる騒動・リードの平穏崩壊編

晩餐会の余韻がまだ街に漂う中、リードは再び自分の畑に戻っていた。

「……やっと、少しは落ち着ける」


ミリィも安心したように肩に止まり、二人で土を触る時間はまるで時間が止まったかのようだった。しかし、その静寂は長くは続かない。


空の上から、突如として黒い影が落下する。落ちてきたのは、王国直属の「魔力監査官」たちだった。リードは眉をひそめる。


「……また来たか。俺、畑でスローライフ中なんだけどな」

監査官たちは真剣な表情で、手に巻物を広げる。

「リード・フェルンガルト殿、国王より特別任務の追加指令が出ました」

「……もう任務は十分済ませたはずだろ?」


しかし、巻物を広げると、その指令は驚くべき内容だった。


「……『次なる任務:地方都市ルンフェルド周辺の魔力異変の調査と鎮圧』」


リードはため息をつく。

「……また地方都市かよ」


しかも、今回の任務は国王直属の補佐として、複数の貴族や冒険者を同行させることになっていた。普段は温厚なリードでも、さすがに顔をしかめる。


「……スローライフって、いったいどこに行ったんだろうな」

ミリィは小声で答える。

「リードさん……でも、今回も魔力を使えば、なんとかなるんじゃ……」


その直後、畑の隅から、暴走気味の小型魔物が一匹、土から飛び出してくる。リードは軽く杖を振るだけで魔物を制御し、拍子抜けしたミリィを笑わせる。


「……やっぱり、俺のスローライフは、こうして魔物や国の人間にかき乱されるんだな」

リードの声には、呆れ混じりの諦観が含まれていた。


翌日、ルンフェルドに再び到着したリード。市民たちは拍手と歓声で迎えるが、リードの心はもう平穏を望むばかり。


しかし、街の外れには、塔の魔力渦巻き事件を目ざとく観察していた盗賊団や冒険者ギルドの面々が潜んでいた。平穏は再び一瞬で壊れ、リードは巻き込まれたドタバタの中心に立つことになる。


「……また始まるのか」

リードは杖を握り、微かな笑みを浮かべる。

「……まあ、やるしかないな」


こうして、リードの“スローライフ再挑戦”は、次なる騒動によって完全に崩壊する。しかし、その平穏な日々を願う気持ちは、どんな騒動にも揺らぐことはなかった。




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