第7話 心臓

ズドォンズドォォォォォォオンズドォォォォォォォォカァァァァァァァン……


触手を蹴散らしながら進むルー。もはや彼を止められる触手はいないのでは?


「本体を探さなきゃ!どこにいるんだ!」


「助けてくれーーーー!」


助けを求める声が聞こえた。そこへ向かうととんでもないものを目にした。



それは、うねうねと動く肉の球体。形的に心臓だろう。

声の主はその近くで触手に襲われていた。ルーはその触手を足で割る。


「ありがとう。助かったよ」


「大丈夫!これは何?」


「多分、神殿を操作してる奴の心臓だ。これさえ破壊すればソイツは死ぬ。しかし触手が守っていて、攻撃ができないんだよ!」


「とりあえず攻撃してみよう!!」


ルーは触手を蹴る。壊れはしたものの、復活が早い。崩れた直後から触手が生えてくる。


「これじゃ時間がない。まもなくオイラはコイツに吸収されちゃうんだ!」


「(蹴りがダメなら石も無理そう。なんとかして心臓を破壊するには……)」


「どうしましょう!オイラたちもう終わりなの⁉︎まだライオン仮面の最終巻買ってないのに〜!」


「(触手を誘導して心臓を攻撃できるかな?いやまさか、ゲームでもないし、そんなにバカじゃないはず)」


「カンガルーのお兄さん!オイラには結婚式を挙げる予定の妹がいるんですよ!ここで死んじゃ妹と花婿に申し訳ない」


「うるさぁぁぁぁぁい!ちょっと黙ってて!」


ルーは少しイラッときた。相手は泣きながら謝った。

さすがに申し訳ないと思ったルーは、考えるよりも行動しようと、辺りを見渡す。


心臓がある部屋の天井には、触手の根元と思われる穴があった。おそらくあの中から煉瓦が投入され、触手が完成するのだろう。


「あの穴さえ塞げば!ねぇ君、あの穴を塞げるような事できる⁉︎」


「任せてください!オイラすごい隠し芸持ってるんです!」


彼はポケットにあった種をボロボロと口に入れた。そして口を少し開けると、種をマシンガンのように吐き出した。


ズドドドドドドドドドドドドドドドドド


種はどんどん穴に敷き詰められ、ついに完全に塞がった。


「すごい!カッコいい!」


「えへへ、それほどでも…。オイラこれを結婚式で披露するんですよ」


「それはちょっと引かれそう」


「そうですかね?結構自信があるんですけど、まぁ良いや。これも何かの縁ですし、もし十二支で生き残れたら、あなたを結婚式に招待しますよ!……妹は誰なのか分からないと思いますけど」


「ありがとう!出席する時はすでに王になってるけどね!」


「面白いですね!ぜひ頑張ってください!ちなみにさっきの技は口いっぱいに種を含んで、それを息で1個ずつ押し出すんですよ」


「そうなんだ。けど僕には無理かも。とりあえず、まずは心臓を破壊しよう」


ルーが心臓を跳び蹴りをしようとした瞬間、部屋の壁が奥へ引き下がり、心臓がかなり遠くの方まで行ってしまった。ルーは咄嗟とっさに石を投げるが、届かず。


往生際おうじょうぎわが悪いな!あの長い廊下を走っている間に触手に守られるのか…これの繰り返しだぞ…」


「カンガルーのお兄さん!後ろ!後ろから!」


2匹は振り向くと、なんと大量の触手が迫ってきた!


「ヤバい!逃げろ!!」


ルーは相手を手で引っ張りながら走った!触手の方が若干速い!


「(心臓破壊までもう少しだったのに!)」


「あわわ、どうしよう!オイラたちもう死ぬんだ!カンガルーのお兄さん、最後までありがとうございました…」


「やめろ!」


ルーはついにキレた。体がオレンジ色から赤くなり、目は鋭くなった。


「生きる希望を持て!生存本能さえあれば、希望さえあれば生き残れる!さっき約束したじゃんか!もし生き残れたら、結婚式に招待するって!」


「!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る