第2話
先生の葬儀を終えた三人は一旦大学に戻った。
「カオスって何だろう」と葵は首をかしげた。先生は何が言いたかったのだろうか。亡くなる直前とはいえ、何か魂胆があったはずだ。
「尚人は、そこに引っ掛かっているのか。先行き不安な状況を指していると思う」
ジャックは何かを知っているような口ぶりで答えた。
「カオスを排除して世界を導くなんて、私たちにできるのかしら」
アリスは不安そうな面持ちで自身を抱きしめる。
「先生が我々に託したのだから、やるしかない」と葵は力を込めた。
話し合った結果、今の混沌とした時代の先に破滅があるのであれば、別の方向を示す混沌が必要だろうという結論に至った。
教授の遺言どおり、三人はカオスを別の形にするため世界に散った。
葵は日本に戻ろうと休学届を出して、帰国の準備を始めた。
世界は、ポールマン教授の後継者として三人に注目した。
アリスは、世界の経済が破綻すると予言した。程なく世界の株価がかつてないほど大暴落した。その一ヶ月後にアリスは破産した資産家に恨まれて射殺された。
ジャックは、戦争が起こると予言しその通りになった。局地戦から世界大戦と広がりつつある中、ジャックは戦地で空爆に巻き込まれて命を落とした。
しばらくして、経済は立て直し、戦争も終結した。
死してなお残る教授の力に人類は震撼した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます