第2話 安全な居場所

 なぜか、昨日の女の子がコンビニの前で居座っている。それも友達らしき黒ギャル二人と。一人はレモン色のショートヘアで、ずいぶんボーイッシュだが…育つところは育ってる顔立ちの綺麗な女の子で、もう一人は同様レモン色のロングヘアで、露出度の高いワインレッドのランジェリーに黒パーカーを着ていた。


「あっ…おじさんだぁ…ふふっ。」


 昨日の女の子が異様にニンマリとして俺をおじさんと呼んだ。俺は傷ついたので、正直に話してみる。


「あ、昨日の…それにしても、は酷くないか?俺まだ27だぞ…せめておっさんにしてくれ…」


「ん?それ一緒じゃねー?(笑)」


 レモンのロングヘアーちゃんがそう言ってきた。…確かに同じだ。だが全く違う。こちらからすればなんか重みが違う。よりもの方が軽い感じがして俺は助かるのだ。すると昨日の女の子が口を開く。


「んや、いいや…って呼ぶわ…(笑)」


「「っ!!?…」」


 二人の黒ギャルが驚いた表情を浮かべたが…一番驚いているのは俺だ、まぁ名札があるから仕方ないものの、いち深夜バイトのコンビニ店員をいきなり名前呼ばわりだなんて。少し…ドキッとしてしまった。


 …そしてあれから一週間、なんだかんだ最近は毎日来ている。ほんとなんなんだこの子たち。そう思ったが俺には俺の考えがあるからあまり干渉しないようにした。


 ウィーン。


 いつもの自動ドアの先には、あの女子たちがいつも通り居座っている。


「あ、おっさん…」


 ショートヘアの黒ギャルが言うと、


「朝霧さんだぁー、」


 あの紫髪の子が言う。


「お前らなぁ…だろ、居座るなー」


 そう彼女たちが未成年であると確信していた俺は、前に問い詰めて彼女たちからそのことを聞いた。つまりはこうやって言うのがいつもの決まり文句みたいになっていた。だが、なんだか今日は紫髪の子の反応が変だった。すると彼女は聞いてきた。


「そういえば…朝霧さんって?」


「「たしかにー…」」


 二人の黒ギャルも相当気になっていそうだったので、俺は話すことにした。


「それは…ほら、人には言えないこと、言いたくないことってあるだろ。それに俺は教師じゃなければ警察なんて立派なもんでもない。その上親でもないからそこまで深く干渉する意味はないって元から思ってるのと、逆に干渉しないために店員として追い出したら…を奪ってしまうかもしれないだろ。それでなんかあったら俺は自分の責任感や罪悪感に耐えれないんでね…なんか長く話してすまなかったな、仕事戻るわ…やることねぇけど。」


 そう言って俺は店内に戻ったが…なぜか彼女たちの目が一瞬輝いたように見えた。


 続く

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レンキン愛! 〜深夜に居座る未成年ちゃん〜 ブルーチー @Bluebelly-Cheese

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