第3話 留学前のお掃除
結局、私達は3人で留学することになった。
最初は渋っていた大人達も、学園の状況を鑑みて、また、公爵令嬢であり次期女公爵でもある私に対する、女子生徒の態度も改めて問題視された。
その結果、ある程度王太子の婚約者候補を絞らないと、授業にも支障が出ると判断されたのだ。
「ごめんね、ごめんね。エリザベスが僕のせいで、いじめられていたなんて……」
自分がいじめられているように泣きそうなルーファスを私は宥める。
「黙っていじめられていた訳じゃなかったから、気にしないでいいわよ」
大抵は無視したが、物理的な嫌がらせには、物理的にお返しした。
具体的に言うなら、教科書を窓から捨てられた時は、机の中に『教科書が落ちた場所にいた虫』を入れて返した。
(私は、虫を素手でつかめる公爵令嬢なのだ)
首謀者の令嬢の悲鳴は、3つ離れた教室まで響いてきた。
ざまぁ。
「エリザベスに、嫌がらせをした令嬢のリストは公表したから、この先まともな縁談は来ないよ」
綺麗な顔して怖いことを淡々と言うヒューバードに、私は頭を抱える。
「そこまでやらなくても良かったのに……」
彼女らの退学処分は、父に頼んでやめてもらったんだが……
「学園に通えるのは、成人した貴族の子弟だけだ。己の行動に、責任を取るのは当然だろ?」
そりゃそうだけど。
この国の成人年齢は16歳だ。
16歳なんてまだ子供だと思うが、15歳の王子がすでに責任ある仕事をしてるので反論しにくい。
ヒューバードのヘイトの強さに、私は頭を抱えた。
気弱なルーファスと足して2で割れないだろうか、と毎度思う。
そんな二人だが、お互いの苦手を補い合っているので、バランスはとても良い。
利発で気が強いヒューバードを、王位につけた方が良いのではという人間もいたが、何の咎もなく、兄であり正妃の子であるルーファスを退ける訳にはいかなかった。
それより何より、ヒューバード本人が『絶対王位にはつかない』と断言している。
そのおかげもあってか、王妃と側妃の仲も良好だ。
国王陛下も貴族たちも、よっぽどの事情がなければ、波風立てたいと思わないだろう。
――――――――――――――――――――atogaki
…いやがらせは、実行部隊より彼女らを操作していた女子生徒がいた事が大人たちには衝撃的で、その彼女は、野放しにしたら確実に次の世代の禍根になるので、見張り付きで修道院預かりになりました。
「かわいそうに……僕がいなければ、立派な社交界の毒婦になれたのにね」
「修道院送りなんて、ヒューバードにしては優しいね」
「エリザベスが気にして調べるかもしれないから、正当な理由を作らないとね」
「あぁ、そこで逃げ出したとか周囲に危害加えたとかだったら、仕方ないもんね!」
…何が?
……二人とも笑顔です。
……バランスの良い兄弟です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます