ひだまりとこのは 森の教会でこっそりとひらかれる森の動物たちの結婚式
雨世界
第1話 あなたに会いたいんです。だからわたしは旅をすることにしました。
ひだまりとこのは 森の教会でのこっそりとひらかれる森の動物たちの結婚式
ひだまり 白い獣の明るいお嫁さん
このは 白い獣の優しい旦那さん
あなたに会いたいんです。だからわたしは旅をすることにしました。
あなたのところまで。大好きなあなたに会うために。
なんども死んじゃうかもしれないって、そんなことを思ったとてもつらい旅でした。
知らない土地で、知っている人もいなくて、ぼろぼろになって、食べるものも水もあんまりなくて、いつもふらふらとしていました。
いつもおんなじ服を着ていて、冬になると寒くて体がぶるぶると震えていたし、手も足も真っ赤になって、小さな傷がたくさんありました。
なんどももう諦めようって思ったし、たくさんたくさん、本当にたくさん(小さな子供みたいに)眠る前に暗いひとりぼっちの夜の中で泣いてしまいました。
でもわたしは旅を続けました。
初めて会ったときに、あなたはわたしに「もう大丈夫だよ。一緒に生きていこうよ」って、にっこりと笑って言ってくれました。
そのあなたの言葉と笑顔と手のぬくもりと声だけを希望にして私は旅を続けました。
歩き続けたんです。
それでもようやく辿り着かことができました。
あなたのいるところまで。
あの寒くて暗い世界が嘘だったみたいに、まるで雨上がりの晴れ渡った空みたいに、世界の全部が新しく生まれ変わったみたいに、あったかくて、きらきらと輝いていました。
ここがわたしのいる場所なんだって思いました。
わたしはあなたと一緒に生きていこうと思ったんです。
大好きなあなたと一緒に。
動物の森の結婚式
「はぁー。今日もいいお天気ですね。なんだか眠たくなっちゃいます」
深い緑色の森の中で、切り株の椅子に座って、のんびりとしている花嫁衣装の白いドレスを着ている白い獣の花嫁のひまだりは(足をぱたぱたとさせながら)言った。
「結婚かー。わたし、幸せになってもいいのかな?」
のどかな春の青色の空の中には二羽の白い鳥が幸せそうに一緒に飛びながら美しい声で鳴いていた。(あの鳥さんたちは恋人同士なのかもしれないって思った。あるいはもう結婚をしていて家族なのかもしれない)
「こんなところにいたんだ。探したよ。ひだまりさん」
そんなこのはの声が聞こえた。(ぴくっとひだまりの白い獣の耳が動いた)
「このはさん。結婚式の途中で逃げ出してしまって、ごめんなさい」
後ろを振り返って、自分を探しにきてくれた花婿衣装の白いスーツ姿の白い獣の花婿のこのはを見て、小さく赤い舌を出してひだまりは言った。
「いいんだよ。でも、どうかしたの? ぼくとの結婚が嫌になった?」
いつものようにとっても優しい顔でにっこりと笑って、(でもひだまりのことを心から心配しながら)ひだまりの座っている切り株の椅子の隣にある丸太の椅子に座って、そっとひだまりの手に自分の手を重ねて、このはが言った。
「あの、このはさん、わたしは本当に幸せになってもいいんでしょうか?」
じっと自分のことを探しにきてくれたこのはの澄んだ青色の目を見ながら(さっきまでずっと見ていた青色の空みたいだった)とっても真面目な顔をしてひだまりは言った。
そんなひだまりのことをこのははなにも言わずにじっと少しの間、ひだまりの大きな海のような碧色の瞳を(珍しく)真面目な顔になって見つめていた。
それから、また(いつもの)笑顔になると、ひだまりのことをしっかりと抱きしめながら「もちろん。ひだまりさんは幸せになってもいいんだよ」とひだまりの耳元でこのはは言った。
とっても優しい声で。
ひだまりの大好きな声で。
そう言ってくれた。
だからひだまりはこのはと結婚をすることにした。(さっきまではやっぱり逃げちゃおうって思っていたけど)
このはと結婚をして、夫婦になって、幸せになろうって思った。
このはと二人で。
ずっと二人で、一緒にいようって思った。(ちょっとだけ恥ずかしかったけど)
「はい。わたしは幸せになります。ありがとう。このはさん」
大きな碧色の瞳を涙でいっぱいにしながら、このはのことをぎゅっと抱きしめて、にっこりと笑ってひだまりは言った。
森の教会の小さな鐘がごーん、ごーんと鳴った。
こうして、ひだまりとこのはは森の教会で結婚式をあげて結婚をして、その日から二人の幸せな結婚生活が始まった。
ひだまりとこのは 森の教会でこっそりとひらかれる森の動物たちの結婚式 雨世界 @amesekai
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