第6話 焼けるような光の匂い

そして、光がまた熱を持ってきた。


窓ガラスに触ると、体が焼けるような暑い匂いがする。


熱い光が、ボクを包み込む。


この熱い光の中で、ボクはうとうとと眠ってしまうことが多くなった。


この季節は、キミちゃんが一番、ボクと長く一緒にいてくれた。


キミちゃんは、庭で水遊びをするのが大好きだった。


ホースから飛び出す、キラキラした水しぶきを、ボクは追いかけて跳ねた。


キミちゃんは、ボクが濡れても気にしなかった。


「コロ、もっと遊ぼう!」って、キミちゃんは、水しぶきの中で笑った。


水と、熱と、キミちゃんの笑顔の匂い。


水が地面から白い煙で上がってくる。


でも、眠っていても、ボクの耳は、ちゃんとあの音を待っている。


キミちゃんの「ただいま」という声は、ボクの心臓の音と同じで、決して消えることはない。


ボクは、夢を見る。夢の中のキミちゃんは、ボクを呼ぶ声が、いつまでも、あの頃と少しも変わらない。


そして、窓の外は金色になって、カサカサの匂いがした。


ボクは、もう窓辺に座っているのが辛くて、パパとママが敷いてくれた、フカフカの毛布の上で寝ている。


景色は、何度も、何度も、変わった。


ボクは、ずっと、ずっと待っている。それがボクの全てだから。


<つづく>

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