豪華絢藍、花盛り

藍が盛る。

彼らは私を覚えているかな。


昔から藍が好きだった私。

育つのを眺めては、色を取られるために刈るのを泣きながら止めた私。

色を抜かれた残骸を集めては、燃やしてお天道様に送った私。


そんなとき、あの人らは私に言ってくれたね。

青は藍より出でて藍より青し、って。


藍は人によって手を加えられて、美しさを増すんだって。

でも、私は青が好きなんじゃなかったのに。


藍が盛る。

彼は私を覚えているかな。


はじめて会った時に、かわいかったあなたを。

藍と似たものを感じたんだ。

きっと素晴らしい色を秘めているのに、あえてそれを隠すあなたに。


そんな時、周りの大人はこう言ったね。

君はもっときれいになれる、って。


彼は色んな場所を回って、綺麗になったね。

でも、私は秘めていた君が好きだったのに。


藍が盛る。

私の世界。


誰にも触れさせはしない。誰も露わにはさせない。

秘めているのが美しいんだ。


現実を見るのが怖い。妄想だけ見ていたい。

藍は好きだ。青は嫌いだ。

藍は美しい。青は醜い。

藍は無限だ。青は有限だ。


それって、ダメなことなのかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る