光るは黄色い記憶
星空をあまねく照らす星と月。
本当は白いのに、なぜ黄色く表されるのだろうか?
もしかしたら、人には黄色に対する羨望があるのかもしれない。
富や充足の象徴たる金色のように、月や星も黄色くあって欲しいのかもしれないな。
そう思うと、私の黄色く輝く記憶も、空虚な白色だったりして。
友と遊んだ他愛ない日々は輝いて見えるが。
実際に今思うと、私に何の得があったんだろう。
あの頃はもしかすると、黄色い色眼鏡をかけていたかもしれない。
大人になるとは、なんと残酷なことだろう!
でも過ぎ去ったものが白色に見えるのは、ある意味自然なのかもしれない。
黄色く盛る炎さえ、残すのは白い灰だろう。
想い人に恋の炎を燃やした時さえあったな。
それも黄色く輝いていると思ったけれど。
結局はそこにあるのは灰の惑星だった。
そんな星で何が起こると言うのだろう?
金は錆びないだろうけど、金色のプラスチックは褪せるものだ。
あの時、自分は良くやったと思っていたけど。本当に私が残したのはプラスチックのメダルだった。
何かに努力したことさえあった。
それは輝いていると思っていた。
でも、結局は褪せているではないか。金になれなかった冠は、白くなっている。
こんなものを被って一体何になる?
でも。それでも。
どうしても、黄色く見えてしまう。
"今"だけは、世界が白色でない。
過ぎればすぐに白色になってしまうのに。
苦しいのはわかっている。
でも"今"まで白く染める勇気がない。
傷だらけの手で漂白なんてする蛮勇は私にないから。
そうして過去を染めて逃げながら。
限りなく白に近い黄色を生きていく。
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