一週間メランコリー ★7
★7 1998年の事故
庄平と自由研究を行ったなつやすみから1年後のことだ。
中学1年生の時。
「大丈夫……そんなに泣かなくていいよ。すぐに戻ってくる」
……。
メグミに静かに話しかけた。彼女は机に突っ伏して、声を押し殺すようにしてかれこれもう二時間以上……泣いている。おかしい。たったさっき学年集会でその事故の話を聞いたばかりで、五分しか経っていないはずだ。が、二時間経っている。これはどういうことなのだろう?
これはサイエンスフィクションだな。まるでそうだ。そういう世界なんだ。
私はメグミが大好きで、小学生の頃から恥ずかしくて目も合わせられなかった。ウブな思春期男子だったのだ。しかし、このときはそれどころではなくて、肩の奥に手を伸ばしてポンポンとしていた。必要だった。
夏休み前の教室。クラスの雰囲気はずっしりと重く、エアコンから吹き出る風の音と蝉の声がミンミンミンミンうるさくて。うるさく!本当にうるさくて!!うるっさいなぁ!!
全部、何もかもの音、黙れ!!黙れ黙れ黙れ黙れ!!!
そんなふうに、思い続けた。思い続けた?
しかし静かなはずなのだが。どうしてだろう。うるさいんだ。
メグミが泣いているのはとても辛い。しかし泣いている人たちは教室のあちらこちらにいて、彼ら彼女ら全員息を止めて黙ってほしかった。誰よりも庄平のことを知っている私は、メグミにばかり注視している。抱きしめたかった。あるいは、抱きしめさせてほしかった。
でもこの時ばかりは何もしてあげられなくて、逆に私が慰めらているのを感じた。きっと、一生彼女の事を愛することになるだろう。これは直感的にそう思ったし10年後には彼女と私は不貞行為に及んだ。
仕方がないことだった。そうして私たちは前に進めるようになったのだから。
もし、タイミングが違っていれば、私たちは一緒に歩んで行くことになっていただろう。しかし、そうはならなかった。
それにしても中学1年生の私は無力だ。本当に、無力な中学生。どうやったって無力。適切な言葉をかけられないし、たぶんそれは存在しない。
それに不思議なことに、気が付くと、これ以上ないほど静かになっていて、時間が飛び飛びになっている。おかしい、やっぱり何かがおかしい。
さっきまでメグミをポンポンしていたのだけれども次の日になってしまっている。
数分の出来事の……はずなのに。
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