第7話
「会長、最近俺、思うんです」
「うん?」
「俺、モテないなぁって」
「…………ごめん、恋愛相談?」
「あ、すみませんこういうのダメでした?」
「…………いや、良いよ? 得意じゃないけど……」
よく生徒の相談を受けてる会長にも不得意なことくらいあるんだな。意外だ。
ちらり、と視線だけそちらに向ける。いつもの会長だ。特に焦った様子も見られない。
「俺、昔っから女子に避けられてて」
「え、うん、そうなんだ?」
「ってのも、ぼたんに言われてるだけなんで、よく分かんないんですけど。俺、鈍感で。避けられてるってこともよく分かってなくて」
「……うん、それで?」
「会長爆モテしてるじゃないですか」
「…………まぁ、うん」
男女問わず、会長はモテてる。今朝も3年の男子生徒に告白されてたなんて噂が出回ってたくらいだ。他学年まで噂が広まってる男子生徒はあまりに可哀想だと思うが、それはそうとして。
「なんでしょう、何すればモテるんでしょう」
「…………自然体でいればいいんじゃないかなぁ」
「そうですか? 割と自然体ですけど」
「う、うん。そうだよね」
少しだけ歯切れが悪いな。ホチキス留めの作業を止めずに会長を見るが、手が少し震えてる。――もう少しかな。
「んで、ちょっと会長にお願いがあって」
「どうぞ?」
「デートしてくれません?」
「――あだっ!」
急に椅子から転がり落ちた。なんだそのリアクションは。
「で、ででででーと!?」
「あ、はい。会長なら経験豊富そうですし。会長を見て学ぼうかと」
「ないよ!?」
「え、そうなんですか?」
「そ、それにそういうのは、もっと仲良くなってから……」
ごにょごにょと、床からか細い声で言われる。
そして、しばらく床から起き上がらなかった会長は、スマホを手に立ち上がると――
「ごめんっ!」
その画面を、俺に見せてきた。
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