第2話 お見合いパーティー(沼らせてやる)
ついに勝負の日が訪れた!
私は朝起き、日課であるジョギングを終え、シャワーを浴びると、お見合いパーティーの支度を始めた。
まず鼻毛が出てたら最悪なので、鼻毛を切る美容具を鼻の奥まで突っ込む、ジョリジョリ切れる音がする。よし!ok
次に服装だが、普段はカジュアルな格好が多いが、ジャケットにチノパン、足元もブーツにして少しフォーマルな格好にした。
髪型もジェルで整え、少し毛先を遊ばせた。準備万端!
電車で都心へ向かう。
私はこの日のために、夜な夜な"女を沼らせる"動画のYouTubeを見てきた。
(沼らせてやる)
会場に開始15分前に到着する。
受付を済ませ、対面式の席に案内されると、自己紹介を記入するカードを渡されたので、それを記入し始めた。
5分程経ち、カードの記入をほぼ終えた時、反対の椅子に「失礼します」と現れた女性。
(え、もうこの娘でいいんだけど、決定)
顔も清楚で綺麗だし、性格も良さそう。洋服のセンスも好き。文句なし!
私は「どうぞ」と一言いって、A子さんがカードを記入し終えるのを待つことにした。
A子さんがカードをほぼ記入し終わったタイミングで、まだ開始5分前だったが、私は彼女に話しかけた「お話しさせてもらっても大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ」とニッコリ笑顔で答えてくれた!
(なんて可愛いんだ)
A子さんとの会話
"沼らせる"動画で今日実践しようと思ったポイント2つ。
・相手の目を見て話す(相手を威嚇するような、雄を感じさせるように見た方がよいと言っていた)
・相手に話をさせる(面白い男、知識のある男より、相手の話をよく聞いてあげる男がモテると言っていた) だいたい私は普段女性といる時自分から話すぎだ。反省!
会話が始まると私は、"俺の視線を2度と逸らすんじゃねーぞ"という気迫で目を見て話始めた。
(可愛いすぎて俺の方が沼ってしまいそうだ)
プロフィールカードを交換すると、趣味「ボランティア活動」という項目が目を引いた。
週1回は必ず区が開催しているボランティアに参加しているという。
(なんていい子なんだ)
ちなみに彼女の年齢は45歳。
私の趣味はいろいろあるが、ほんとうは「クリスマスを女性と過ごすこと」と趣味の欄に書いて少しかましを入れたかったが、欄が小さすぎて書けなかったので「創作活動」と書き込んだ。今snsに投稿をアップすることに一番時間を割いているからだ。
お互いの趣味の話などしていると、すぐにお見合いパーティースタートの時間になってしまった。
「それでは始めて下さい」と司会が言ったが、すでに私達は始めている。
こちらのお見合いパーティーが始まると、隣でお酒を飲みながらお見合いパーティーをしているグループの声が、こちらに負けないようにしているのかわからないが、大きくなり始めた。
A子さんの言ってることが、部分、部分、聞き取りずらい。大事な時間をなんてことしてくれるんだ。
(だいたいお酒飲んで声でかいとか、大人として最低だぞ。そんなやつはきっとカップル成立しないぞ)と少しムッとした。
けっこう話も盛り上がったし、彼女から話を引き出せた。聞き上手役も上手くできただろう。
そんな形でA子さんとのトークタイムは終了した。
A子さん以外との会話
次はB子さんだ。
37歳、見た目も悪くない。はっきり言って付き合えるなら付き合いたいレベル。だがA子さん超えはできない。"沼らせる"実践はなしで、楽しく会話することにした。終了
次はC子さんだ。
45歳、ちょっと年齢の割に化粧とかが派手すぎる。却下。しかし最寄駅がなんと同じというミラクルが起き。地元話で盛り上がる。終了。
最後にD子さん
33歳、2児の母、顔も可愛い。
(少し、揺れる)
私は子連れはむしろ歓迎くらいに思っているので、全然気にしていない。
"沼らせる"実践は少し実行し、会話は盛り上がった!終了
今回は4対4のお見合いパーティーとなった。はっきり言って4人中3人いいと思う人がいるのは珍しい。お見合いパーティーは今回4回目だが、今までそんなことなかった。
インスピレーションタイム
ついに1番お気に入りの人を選ぶ時間となった。しかもその作業をD子さんの前で書かないといけない運営側の配慮のなさ。
A子さんとD子さんで少しだけ迷ったが、"33歳は、47歳相手にしないだろう"と現実に立ち返り、最初に心に決めた通りA子さんを書くことに決めた。
私のお気に入りの人を書いたカードが運営側に回収されて暫く経つと、運営側の人に、私を気に入ってくれている人のカードを渡された。
なんとそれにはA子さんの番号が書かれていた!
(ヨッシャー!"沼らせる"動画ありがとう)
その後マッチングタイムとなり、再びA子さんの名前を記入し、カップル成立!
運営側から私達2人のナンバーが呼ばれ、暖かい拍手。それでお見合いパーティー終了。
結局、今回のお見合いパーティーでカップル成立したのは、私達だけだった。
時間にして45分ぐらいのお見合いパーティー、参加費、男性は5500円。コスパどうなの?と少し思う。
まぁ今回はいい出会いがあったから、ヨシ!としよう。
男性は先に退出し、パーティーが行われていたビルの10階から、エレベーターで1階のエントランスに降りる。
私だけはカップルが成立していたので、A子さんを待つ。
今回のお見合いパーティーに参加した男どもの寂しげな後ろ姿を見て優越感に浸る!
(負け犬どもが、動画を見ろ。動画を。ハハ)
そして後からA子さんが降りてくる。
私はA子さんの目をがっしり見てこう言った。
「この後予定あります?コーヒーでも飲みませんか?」
「1時間ぐらいなら大丈夫です」
(YES!)
2人で人混みの多い繁華街をなんとなくカフェを探して歩いた。
(うーん一緒にいるだけでも、楽しいな)
こぢんまりとしてそうな地下のカフェに入る。
そこで1時間近くいろいろな話をしたが、ほんとうにいい娘、お金はそんなに持ってなさそうなのに、よくボランティア活動はしているとのこと。なんで可愛くて、性格も良さそうなのに、45歳まで結婚してないのかが不思議だが、まだ聞く段階ではないだろう。
なんか、投資とかしてるし、snsの収益化も狙っている自分が恥ずかしくなってくる。だが辞めないぜ。
このカフェでも、聞き役に基本は徹し、ラインを交換した。1時間はあっという間にすぎた。
この後まだ、この場所で予定があると言っていたので、カフェから少し歩いたところで、バイバイした。
自宅にて
A子さんとバイバイした後、普段なら即ラインを送るところだが、"沼らせる"動画では、即レスみたいなことはよくないと言っていたので、我慢することにした。
家に着いたのは17時ぐらいだったが、祝杯を上げるため、17時という早い時間から酒を飲み始めた。
早く飲み過ぎたせいか20時頃眠くなってしまった。もう少しラインを送るのを引っ張りたかったが、"今日送らないのはないな"っと思いラインを打って寝た。
夜中の1時に目が覚め、A子さんとのラインを確認すると『既読』がついていた。
(あんないい娘、既読スルーとかあるかな?)
などと考えたが、カフェに行った後の用事は、たぶんもう一回お見合いパーティーに参加するのだろうと考えた。
たぶん当たってはいると思う。そこでいい人が見つかった!?のではと、金田一並の推察力を働かせた。
次の日の朝もラインの返信はなかった。
だが私は、今日もまたお見合いパーティーを予定に入れている!
(頑張れ。自分)
12月21日 日曜日
朝、日課のジョギングを終えると、またお見合いパーティーの支度をする。
服装は中のシャツだけ変え、あとは昨日と同じ服装、フォーマルな勝負服はこれしかない!
髪型をジェルで整えると、颯爽と家を出た。
(今日も素敵な出会いがあるかな?)
12時20分、お見合いパーティー会場に着くと、受付を済ませ、ウェイティングルームへ案内される。
昨日とは違い紙のやりとりなどなく、すべてスマホでやりとりするスタイル。
自己紹介文、住まい、身長、家族構成、趣味など20項目ぐらいを、お見合いパーティーが始まるあと10分以内にすべて打ち込まなければならない。はっきり言って"無理ゲー"!
部分、部分、適当に打ち込み、なんとか項目は全部埋めれた。だいぶ適当なプロフィールになってしまった。
噛み噛みの司会のアナウンスが終わると、なぜか70年代ディスコの曲がかかり始め、お見合いパーティーが始まった!
こんなはずじゃ
No.1さん 48歳、身長170cm、私は歳上と自分より身長が高い人とは付き合わないので、とりあえず話はするが、パスだ。
No.1さんとのやりとりで、とりあえずこのお見合いパーティーのスマホ操作は覚えた。
スマホの中に相手の印象を打ちこむ欄が、相手のプロフィールを見るとあるので、そこに『なし』と失礼な言葉を打った。
No.2さん 44歳、見た目が性格悪そう。顔に少し滲み出ている。話をしてても噛み合わない時が少しあって、盛り上がってる風を装っているが、私は全然面白くない。
印象欄に『なし』と打ち込んだ。
No.3さん 36歳、瞼が重そうな一重が印象的で、あまり可愛いくない。バレーボールと、ラーメンの話をして終了。
印象欄に『なし』とまた打ち込んだ。
No.4さん 37歳、今までの中では見た目が一番マシな方だが、ぽっちゃりしている。
(今日まったくテンション上がらないな。と心で思った)だが気まずくないレベルで会話は続けている。
印象欄に『うーん』と打った。
(まずい。あと2人しかいない!頼む、贅沢言わないから1人ぐらい。いい人と喋らせてくれ)
No.5さん 46歳、化粧濃すぎ!胸は大きそうだ。それをアピールできる服を着ている。
全くタイプじゃない。適当に喋って終了。
印象欄はもちろん『なし』
(頼む、最後)
No.6さん 40歳、肌がきれいじゃない。
(終わったー。帰りたい)
途中住まいを聞いたら、「さいたま」と相手が答えたので、「さいたまのどこですか?」と聞き返すと、「さいたま」とまた返ってきた。
(おまえの家なんか興味ねーんだよ。家の位置濁していいような見た目じゃないことに早く気づいてくれ)
※読者のみなさん、私はこんな性格悪い人間ではないので、少し面白くしようとして毒を吐いてます。多めに見てやって下さい。
インスピレーションタイム
誰も選びたくない。"6分の0"って数学とかで出てきたら、そんな問題はないって言われそう。
AIに聞いたら"定義できない"と言われた。
AIも定義できない現象が起きているではないか?どうなってるんだ。
昨日の4分の3"いい娘"がいたのが奇跡なのか?
(1人ぐらい回してくれ!)
もう帰りたかったが、しようがないので、印象欄が『うーん』のNo.4さんを第1候補に選んだ。第3候補まで選べるが、スマホを打つ気になれなかった。
インスピレーションタイムの発表。どうでもよかったが、とりあえずNo.4さんに好印象を持ってもらえてない。
続いてマッチングタイム、一応聞く、1組カップルが成立したみたいだ。誰がカップルになったかは、全く興味がなかった。
ただ、マッチングタイムの結果がスマホの画面に映しだされた時、一緒にウェイティングルームにいたもう1人の男性が「アァー」とうなだれていたのが、印象的だった。
(ガチやないか。そんないい娘いたか?)
もう興味がなくなっていたので、お見合いパーティーのスマホの画面を閉じると、なんとA子さんからラインが入っていた! (実話です)
マイペースそうな娘だったから、今日送ってくる可能性5パーセントぐらいあるかなっと思っていたが、まさか"5%"を勝ち取れるとは!
ラインの内容を見ると"昨日は楽しかったです!ありがとう!"みたいな好印象な内容だった。
(神よー。ありがとうー)
私はなぜか、お見合いパーティーを退出する時、運営側の人たちに、笑顔で「ありがとうございました」っとカップル成立もしてないのに伝えた。
続く・・
実話 47歳婚活物語 コーサク @ko-saku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。実話 47歳婚活物語の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます