第24話




 鈴花もガマシーもなんだか無口で、せまい路地をテクテク歩いていた。鈴花は目抜き通りを歩いていたかったけれど、ガマシーは路地のほうが落ち着くというので、そちらに合わせてのことだった。


 さて、目的もなく歩いていると、


「これこれ」と、声をかけられた。


 見ると、一人の占い師が、いろいろの商売道具を前に座っていた。本人の言うところによると、カピバラのじじいと呼ばれているということだったが、なるほど、どこからどう見ても、カピバラのじじいであった。


「占ってくれるの?」


 とガマシーが聞いた。しかしカピバラのじじいはかぶりをふるので、


「じゃあ、なんの用よ」

「それはな、――まあ話すと長いんじゃが、つまりわしらは、話さんといかんことになっとったんでな」

「占いはしてくれないんですか?」


 と鈴花が念を押したけれど、カピバラのじじいはやっぱりかぶりをふって、


「つい先ほど、わしはもう占わないと出たんでな。占い師としては、したがわぬわけにはいかんのじゃ」

「そうですか……」

「それで、はなにを話すことになっとったの?」


 とガマシーが聞くと、カピバラのじじいは首をひねって、


「さあ。そのことは、べつに占ったわけではなく、そうなるとわかったというだけなんで、内容まではわからんな。――しかしわしらは、また会うじゃろうて」



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