第22話
「ふるさとじゃないけど、だれか親せきが住んでるかもしれないわね。行ってみる?」
「もちのろんよ」
けれども、どうやって行くか。ガマシーがお留守番ならことは簡単だったが、むろんガマシーはゆずらなかった。
べつに鳥子さんが二往復すればいいだけの話ではあったものの、鳥子さんは、二度手間とか、そういうたぐいのことを、あんまりするべきではない種族なのだと言った。
「神聖であるというのも、厄介なものなのよ」
と、ため息をついた。
なにか方法はないものかしらと、うろうろしていると、川の上に、おあつらえ向きな、カスタムカーのお店があった。ガマシーによって高望みが叶えられた結果だろうかと、考えてみても、そのお店はガマシーがそう望むよりずっと前からここにあるわけだからして、答えは出なかった。
入ると、太い腕いっぱいにタトゥーのほどこされた、みごとな太鼓腹のおじさんがいた。事情を説明すると、「まかせときな」と言い、三十分ほどで、チョッパーバイクを飛べるように改造してくれた。
「こんなアブナイ仕事をさせてくれたお礼だ」
と言って、タダにしてくれたばかりでなく、ガソリン満タンにしてくれて、新しいミラーまでつけてくれた。
三人で空の町へ飛んで行った。鈴花は鳥子さんに運ばれるのも好きだったけれど、ガマシーの空飛ぶバイクも捨てがたく、うらやましげにふり返っていた。
ガマシーはおじさんにもらったゴーグルを反射させ、白い歯を見せて笑いながら、煙を立てて、ドルルンドルルンと飛んでいた。
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