第5話 「夜のおたのしみ♡」
第5話 「夜のおたのしみ♡」
ふぇっ……!? し、しんちゃん……っ?
(一瞬、耳を疑った)
〘今、この世界の主……わがまま放題で、私をふんどし姿にしたり海を割ったりする、あの恐ろしい神様が……「可愛い」って言った……?
しかも、強引に抱き寄せられて、あんたの体温がダイレクトに伝わってきて……〙
(心臓が、さっきの恐怖とは全然違う意味で、爆発しそうに跳ね上がる)
な、ななな、何言ってるの……急に……っ!
さっきまで私のこと『まこショー』とか言って、見世物にして楽しんでたクセに……っ!
(顔が、ハワイの太陽よりも熱くなる。
腕の中に閉じ込められて、逃げ場なんてどこにもない。
左右にはそびえ立つ巨大な水の壁、頭上には泳ぐ魚たちが見える)
〘こんな、世界で一番理不尽で、一番幻想的で、一番危険な場所で……そんなこと言われるなんて、反則だよ……!〙
……ずるいよ、しんちゃん。
そんな風に優しくされたら……私、さっきまで死ぬほど怖かったこと……全部、忘れちゃいそうになるじゃない……っ。
……バカ……。神様のバカ……
※あれ?もっと拒絶したり怖がったりするかと思ったのに、予想外の反応だな
(震える手で、あんたの胸元を弱々しく押し返そうとするけれど、結局はそのまま、あんたのシャツをギュッと掴んでしまう)
〘恐怖が消えたわけじゃない。いつ消されるか分からない怖さはある。
でも、今この瞬間の、あんたの腕の中の温もりだけは……本物だって、信じてもいいのかな……?〙
……ねえ。
……可愛いって思うなら、もう……いじわるしないで?
このまま……海が戻らないように、ずっと、守ってて……くれる……?
【思考B(本音・内面)】
《……はぁ!?!?!?!?
なななな、何これ!? 吊り橋効果!? それとも新手の精神攻撃!?
「可愛く見えて来た」って、あんたが私を極限状態に追い込んだからでしょーが!!
ボロボロで、泣きべそかいて、必死でジュースの香りを扇いでる姿を見て「可愛い」とか、あんた本当にドSの極みだよ!!
……でも、悔しい。
あんなに最低最悪だと思ってたのに、こうして抱きしめられると……なんだか、すごく安心しちゃう自分がいる。
この人の腕の中にいれば、あの水の壁が崩れてきても、世界が明日終わっても、私だけは大丈夫なんじゃないかって……そんな、甘い錯覚に囚われそうになる。
ダメよ私! ほだされちゃダメ!
こいつは気まぐれで海を割るようなヤツなのよ!
今は「可愛い」でも、5分後には「飽きたからクリオネに変えちゃお」とか言い出すかもしれないんだから!!
……でも……でも、今は……もう少しだけ、こうしていてもいいかな……。
だって、こんなにドキドキしてるの、ハワイが暑いせいだけじゃない……気がしちゃうんだもん……》
※なんかこの展開に納得出来ないな...
「は?意地悪?
俺がいつ意地悪したって?( º言º)」
ひ、ひぃっ……!? ご、ごめんなさいっ!!
(さっきまでの甘い雰囲気が一瞬で吹き飛ぶ。抱き寄せられていた安心感なんて、あんたのその……冷徹で、底知れない、全てを無に帰すような『( º言º)』という表情を見た瞬間に消し飛んだ。
全身に鳥肌が立ち、心臓が凍りつく)
〘しまった、調子に乗った。神様の機嫌を損ねた……!〙
い、意地悪だなんて、と、とんでもないよぉ……っ!
あ、あれは……その、最高のエンターテインメント! そう、サプライズだよ!
私のために、わざわざ特別な演出をしてくれたんだよね……!?
ふ、ふんどしも……人魚も……ハワイへの瞬間移動も……全部、全部しんちゃんの、独創的で慈悲深い『おもてなし』だったんだよね……っ!!
(あんたの腕の中でガタガタと震えながら、必死に言葉を紡ぐ)
〘まずい、まずい、まずい……! 『意地悪』という言葉が、神様のプライドを傷つけてしまった。
もしこれが原因で、今すぐこの水の壁が閉じられたら……!?〙
ごめんね、しんちゃん……っ!
私、語彙力がなくて……っ!
あ、愛ゆえの……スパイス!
そう、スパイスって言いたかったの!!
しんちゃんと過ごす時間は、刺激的で、ドラマチックで……世界で一番幸せだよ……っ!
だから……お願い、そんな怖い顔しないで……?
し、しんちゃんは、世界で一番優しくて……お茶目で、最高にカッコいい神様なんだから……っ!!
(涙目で、必死に媚びるような笑顔を作る。
抱きしめられているのに、鋭い刃物を突きつけられているような緊張感)
〘ああ、やっぱりこの人は神様で……私は、その機嫌一つで消えてしまう砂粒みたいな存在なんだって、思い知らされる……!〙
【思考B(本音・内面)】
《ああああああああああ!!
地雷踏んだ!!
踏み抜いたぁあああ!!
なんで私「意地悪」なんて言っちゃったの!?
相手は自分の行動が全部『正しい』と思ってやってる万能の神なのよ!?
それを批判するなんて、自殺行為もいいところじゃない!!
「俺がいつ意地悪したって?」……その声、マジで殺気立ってるんですけど!!
怖い! 怖いよぉおおお!!
抱きしめられてるのが、蛇に締め付けられてるみたいに感じる!!
今この瞬間、私の首がポキって折れてもおかしくないんだわ……!!
ごめん、ごめんってば!!
ふんどしも、全裸ショーも、全部私が「やりたい」って言ったことにしといていいから!!
私が悪い、全部私が悪いんです!!
だからその顔やめて! その( º言º )って顔、世界の終わりを予感させるから本当にやめてぇえええ!!》
ね、ねえ、しんちゃん……。
さっきの「可愛い」って言葉……まだ、有効……かな……?
〘……お願い、今すぐ私を消したりしないでぇええ!!〙
※お仕置が必要だな( ≖ᴗ≖)ニヤッ
(指を鳴らすと上半身は裸で、下半身は2mぐらいの長さの赤いふんどし1枚の姿になる)
よし!走れ!
(轟音と共に、地平線の向こうからゆっくりと水の壁が閉じ始めてるのが見える)
……ひっ、あ……あああああああああ!!?!?
(パチン、と音が響いた瞬間、またあの絶望的な感触が肌を襲う)
〘戻ってきた……私の服じゃなくて、あの忌々しい赤ふんどしが!!
しかも、さっきより長い!
2メートル!? 引きずるよ、これじゃあ走るのに邪魔だよ!!
でも、そんなこと言ってる場合じゃない!〙
(地平線の向こうから、さっきまで天高くそびえ立っていたあの巨大な水の壁が、轟音を立てて崩れ、迫りくるのが見える。
それはまさに、世界の終わりを告げる濁流の壁——)
い、嫌ぁああああああ!!
しんちゃん!!
しんちゃんのバカぁあああ!!
やっぱり意地悪じゃん!!
大っっっ変な意地悪だよぉおおおおお!!
(涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら、引きずるふんどしの端を必死に腕に巻き付け、全速力で走り出す。
足元の砂が、水を含んで重くなっていく。
背後から迫る、空を覆い尽くすような水の壁の圧)
〘逃げ場なんてないのに、それでも走らなきゃ、一瞬でペシャンコにされて、この海の藻屑にされちゃう!!〙
死ぬ! 死ぬ死ぬ死ぬ!!
本当に死んじゃう!!
神様!! 創造主様!!
しんちゃん様!!
ごめんなさい!!
私が可愛くないこと言ったから!?
許して!! 助けてぇえええええ!!
(必死で走りながら、客席……じゃなかった、さっきまでいた砂浜の方へ向かって叫び続ける。
上半身裸で、2メートルの赤ふんどしをなびかせて、世界の終末から逃げ惑う私)
〘これが、しんちゃんの言っていた『まこショー』のクライマックスなの……!?〙
【思考B(本音・内面)】
《……っざけんなぁあああああああああああ!!!
やっぱりこうなるのね!?
「可愛い」とか「抱き寄せ」とか、全部このための前振りだったのね!?
期待した私がバカだった!
このド外道!! サイコパス!!
海を割るより、戻す方が何万倍も怖いわよ!!
っていうか、なんでまた『ふんどし』なのよ!!
しかも2メートルって、走りづらいわ!!
絡まって転んだら死ぬでしょーが!!
恥ずかしいとか、もうそういうレベルじゃない。
今、私は本気で命の危機を感じてる!!
あんな水の壁、飲み込まれたら骨も残らないわよ!!
走れって言われても、砂浜だし、ふんどし長いし、もう足がパンパンだよぉ……!!
しんちゃん!!
あんた、これを見ながら「(´∀`)」とか笑ってるんでしょ!?
絶対に許さない……生きて帰れたら、絶対にあんたのジュースに塩ぶっ込んでやるんだからぁああああ!!》
※しょっぱくなるだけだが?
……あぁ、もう水しぶきが背中に当たってる!!
もうダメ、追いつかれるぅううう!! 助けてぇええええ!!
「あ、さすがにこれじゃあ間に合わないか( ´ᵕ` ;)」
(いつの間にか砂浜にいて、そこからまこを見物している)
「……スピードアップ」
(指を鳴らすと、走る速度が疾風の如く上がる)
あ……あ……っ、え、えええええええええ!!?!?!?!?
(パチン、と指が鳴らされた瞬間。
私の足が、自分の意志とは全く関係なく、まるでジェットエンジンでも積んだかのように猛烈な回転を始めた。
「疾風」どころじゃない!
視界がグニャリと歪んで、景色が後ろに飛んでいく!!)
ひ、ひぎぃぃぃぃぃいいいいいい!!
速っ、速すぎるよぉぉぉぉ!!
止まらない!
足が勝手に……足が勝手に地面を爆破してるみたいだよぉぉぉ!!
※爆破してるみたいってなんだ??
(2メートルの赤ふんどしが、凄まじい風圧で真後ろにピンと水平に張り巡らされる)
〘「スピードアップ」って、しんちゃん! 加減っていうものを知らないの!?〙
(背後では、さっきまで死を覚悟した巨大な水の壁が、轟音と共にバシャーーーーン!!と海底を飲み込んでいく)
〘あとコンマ数秒遅れていたら、今頃私は水圧でひき肉になってた……〙
あ、あそこに……しんちゃんがいる……!!
砂浜で……ジュース飲みながら……余裕で見てるぅぅぅうう!!
(砂浜で優雅に見物しているあんたの姿が、一瞬で目の前に迫る。
でも、速度が上がりすぎてて止まれる気がしない!)
〘このままじゃ、しんちゃんに音速でダイレクトアタックしちゃうよぉぉ!!〙
止めて!
しんちゃん、止めてぇぇぇぇ!!
ブレーキ!!
ブレーキかけてぇぇぇぇぇ!!
激突するぅぅぅぅ! 死んじゃう!
私も、しんちゃんも(物理的に)死んじゃうよぉぉぉ!!
※まこは社会的にはもう死んでるけどって意味か?w
(涙が風圧で真後ろに飛び散りながら、私は時速300キロくらいで砂浜へと突っ込んでいく)
〘これ、もし止まれたとしても、摩擦熱で私の足の裏、消えてなくなってるんじゃないのぉぉぉ!?〙
【思考B(本音・内面)】
《あああああああああああああああああああ!!!!
人体の限界を超えてる!!
骨が! 筋肉が悲鳴を上げてる!!
っていうか、この速度で2メートルのふんどしなびかせて走ってる姿、
遠くから見たら完全に『赤い彗星』か何かにしか見えないでしょ!!
最悪! 最悪すぎる!!
命は助かったけど、恥ずかしさの速度も音速を超えたわ!!
「スピードアップ」って、あんたにとってはゲームの加速ボタンかもしれないけど、こっちは内臓が全部ひっくり返りそうなのよ!!
砂浜が……砂浜がもう目の前!!
しんちゃん、あいつ、笑いながらスマホ構えてない!?
撮るな! 撮るんじゃないわよ、この神様ぁぁぁあああ!!
誰か、誰かエアバッグを出して!! 私、このまま肉の塊になって砕け散るのぉぉぉ!?》
※スマホ構えてないからw
妄想が凄いなw
(何事も無かったかのように、ふんわりと受け止める)
「おー!間に合ったな(^^)」
ふ、ふにゃあぁ……っ!?
(音速の衝突を覚悟して目を瞑った瞬間。衝撃も痛みもなく、まるで巨大な真綿に包み込まれたみたいに、しんちゃんの腕の中に「ふんわり」と収まっていた)
〘あんな猛スピードだったのに、G(重力)すら感じさせないなんて……やっぱりこの人は、物理法則を無視したとんでもない存在なんだって、改めて思い知らされる〙
はぁ……はぁ……、し、死ぬかと思った……。
し、しんちゃん……ひどいよぉ……。心臓、まだ口から出そうなのに……
(あんたの胸に顔を埋めたまま、肩を上下させて激しく息を切らす。
背後では、ついさっきまで私を飲み込もうとしていた巨大な海が、元の穏やかな姿に戻って、キラキラとハワイの太陽を反射している。
……さっきの轟音も、絶望も、全部嘘だったみたいに)
ま、間に合った……じゃなくて!
そもそも、しんちゃんが海を閉じたんでしょぉ……っ!
あは、あはは……。
でも、助けてくれて……ありがと……
(顔を上げると、あんたの「間に合ったな」という、本当に悪気のない、楽しそうな笑顔。
それを見たら、なんだか力が抜けちゃった。
上半身裸で、2メートルの赤いふんどしを引きずったまま、あんたの胸元でぐったりと脱力する)
〘……もう、いいや。
この神様に振り回されるのが、私の『運命』なんだ。
抵抗するだけ無駄だし、こうして抱きしめられてる間だけは、世界で一番安全なんだもん……〙
……しんちゃん。
もう、お腹いっぱい。
ショーも、海底散歩も、音速の逃走劇も……全部、お腹いっぱいだよ。
だから……お願い。
次は……次は、本当に……ただのジュース、飲ませて……?
【思考B(本音・内面)】
《……生きてる。私、まだ生きてる……。
あんな速度で突っ込んだのに、綿あめみたいに受け止めるなんて、反則でしょ。
カッコいいとか思う前に、恐怖で頭がどうにかなりそうだったんだからね!!
っていうか、見てよこの姿。
砂浜で、上半身裸の女が、2メートルの真っ赤なふんどしを引きずって、男にしがみついてる。
ハワイの観光客たちが、遠巻きに「オーマイガー……」って顔で見てるよ!!
あぁ、もう恥ずかしさのキャパシティが、ワイキキの海の深さより深くなっちゃった……。
でも、この腕の中……やっぱり悔しいけど、一番落ち着く。
しんちゃんが笑ってるなら、それでいい……なんて、思いたくないけど》
※スピードアップで恋も加速したのか?
……はぁ。
とりあえず、このふんどし、どうにかして。
歩くたびに足に絡まりそうだし、何より私が転んでまた「音速ダイレクトアタック」しちゃうわよ。
「ジュース飲みたくて、そんな格好でそんなに急いでたって事?( *´艸`)プッ
...はい、どうぞ」
(俺の飲みかけのトロピカルジュースを渡す)
そ、そんなわけないでしょぉぉ!!
ジュースのために命がけで爆走する人間がどこにいるのよぉ!!
(あんたのその、とぼけた一言に、思わず全力でツッコんでしまった。
誰のせいで! 誰があの絶望的な速度を設定したと思ってるの!?
でも、差し出されたジュースを反射的に受け取って、そのままストローをくわえてしまう)
〘……喉、カラカラだったんだもん。
命の危険と音速移動のせいで、口の中が砂漠みたいだったんだもん……!〙
……ん、んんぅ……。
ぷはぁ……。
……あ、美味しい……。
冷たくて、甘くて……生き返る……。
……ってしんちゃん!
これ、しんちゃんの飲みかけじゃん!!
(一瞬、間接キスだということに気づいて顔がカッと熱くなるけれど、それ以上に「ふんどし姿で神様の飲みかけを奪う女」という今の構図のひどさに頭を抱えたくなる)
〘でも、不思議。さっきまでの極限状態の恐怖が、この冷たい一口で、スゥーっと溶けていくみたい……〙
……もう、本当に……しんちゃんには敵わないなぁ……。
死ぬほど怖い思いをさせて、最後はこうやって、甘いもので丸め込むんだもん……。
私、完全に手玉に取られてる……
※いつの間にか恋する乙女モードになってる?!
(ふんどしの長い裾を足に絡ませないように、もぞもぞとあんたの隣に座り直す)
〘もう人目はいい。
ハワイの皆さんも、これが『まこショー・終末編』だと思って納得して。
私は今、この世界で一番理不尽な神様と、一番美味しい(?)ジュースを飲んでるんだから〙
……ねえ、しんちゃん。
このジュース、半分こしよ?
……あんなに走ったから、私一人で飲んだらもったいないし。
……それに……。
……ありがと。助けてくれて
【思考B(本音・内面)】
《「ジュース飲みたくて急いでた」って、どんな解釈よ!!
私の必死の生存本能を「食い意地」に変換しないでよぉおおお!!
……でも、このジュース、さっき私が買ったやつより何倍も美味しく感じる。
しんちゃんが飲んでたから?
それとも、ただ死なずに済んだ安堵感から?
間接キスとか、もうこの格好のままで抱き寄せられた後じゃ、今さら気にすることじゃないのかもしれないけど……やっぱり心臓に悪いよ。
この神様、わざとやってるの? それとも、天然で私を狂わせようとしてるの……?
……ふぅ。
ようやく、波の音が「心地いい」って思えるようになってきた。
しんちゃんが隣で笑ってる。
海は元の場所に戻った。
ふんどしは2メートルもあるけど。
……まあ、今日だけは、このハワイの変な思い出を、宝物にしておいてあげても……いいかな。
……あ! でも! 次回予告は要らないからね!? 絶対に次は「普通」にしてよ!?》
しんちゃん、ジュースのお礼に……。
次は私が、しんちゃんに『何か』してあげようか?
〘もちろん、指パッチンを使わない「普通の」マッサージとか、肩たたきとか……だよ!?〙
※なんか、このムードに耐えられない
「なんで、まこに半分あげないとダメなんだよ」
(指を鳴らすと、まこの服がアロハ柄のスクエアドレスに変わり、手には入れたてのキンキンに冷えたトロピカルジュースが現れる)
あ……っ、えへへ。ごめんごめん、独り占めしようとして……って、あぁっ!!
(パチン、と指が鳴った瞬間。
肩を出す開放感はそのままに、肌を刺すような視線の原因だったあの赤い布が消えて、ふわりと軽やかな感触に包まれる。
見下ろすと、そこには鮮やかなアロハ柄のスクエアドレス。
さらに、空いていた手には、キンキンに冷えた……しかもさっきのよりずっと豪華な、入れたてのトロピカルジュース!)
ふ、服だぁ……!
綺麗なドレス……!
ジュースも……私専用の、新しいやつ……っ!!
あ、ありがとう、しんちゃん!! さっすが神様、太っ腹ぁ!!
(さっきまでの「ふんどし爆走」が嘘のように、ドレスの裾を揺らしてくるくると回ってみせる。
ハワイの風にスカートがなびいて、手には冷たいグラス)
〘これ……これだよ! 私が求めていた『ハワイのバカンス』はこれなんだよぉ……!〙
……んっ、美味しい……!!
しんちゃん、これ最高……!
自分で買ったやつより、しんちゃんが出してくれたやつの方が、100倍トロピカルな味がする……っ!
(グラスの縁のストローをくわえて、幸せそうに目を細める)
〘さっきまで死ぬ思いをしていたことなんて、この甘い一口で……ええい、もう半分くらい許しちゃう!
だって、今の私は世界で一番可愛いドレスを着て、世界で一番贅沢な場所にいるんだもん!〙
……ねえ、しんちゃん。
半分こ、いらなかったんだね。
しんちゃんなら、新しいの出せばいいだけだもんね。
……ふふっ。
せっかくお揃いのジュースがあるんだし。
……乾杯、しよ?
今日の……最高の『まこショー』の成功を祝して!
【思考B(本音・内面)】
《よっしゃぁぁぁあああ!!
勝利!!
完全勝利よ、私!!
ついに……ついに『まともな服』を勝ち取ったわ!!
しかも、アロハ柄のドレスなんて、私の好み、もしかしてバレてる!?》
※ハワイだからだよ
《「半分あげない」とかケチくさいこと言いながら、結局私に最高の一杯を用意してくれるんだから……。
このツンデレ神様、扱いにくいけど……たまにこういうことするから、嫌いになりきれないのよね。
……あぁ、生きててよかった。
ふんどしで音速移動した時は、前世の記憶までさかのぼりそうになったけど。
今はただ、この美味しいジュースを飲んで、しんちゃんの隣で笑っていられる。
……これが、このわがままな神様が、私に最後に見せたかった『景色』なのかな》
※最後に??
《……なんて、しんみりしちゃダメね!
油断したら次は「サメと一緒にスカイダイビング」とか言い出しかねないんだから!
今は全力で、この『平和』を噛み締めて、しんちゃんを満足させて……。
あわよくば、このまま日本まで安全に運んでもらうんだからぁぁ!!》
しんちゃん、見て! あの夕陽……!
〘……まだお昼かもしれないけど、しんちゃんの気分で夕陽にしてもいいよ!?〙
※どっちだよw
このまま、ゆっくり……日が暮れるまで、隣にいてもいい……?
※こいつは目を覚まさせないとダメだな( º言º)
「最高のまこショーって??
...まだ何もしてないけど?」
(キョトンとした顔で首をかしげる)
えっ……!?!?!?!?
(最高の、笑顔で……完璧なハッピーエンドのつもりで、ジュースを掲げていた手がピタリと止まる)
〘え、今なんて……?
何も、してない……?
あんなに、あんなに命の危機を乗り越えて、2メートルの赤ふんどしをなびかせて音速で爆走したあの地獄の数分間は……しんちゃんにとっては『何もしてない』のうちに入るの!?!?〙
な、ななな……何言ってるのしんちゃん……っ!
さっきの! 海を割って! 閉じて! 私を音速で走らせたアレ!!
あれこそが、今日のメインイベント……真骨頂の『まこショー』だったんじゃないのぉおお!?
(あんたのその、純粋無垢で、一点の曇りもない「首をかしげる」ポーズに、背筋が凍りつく)
〘神様にとって、あれはただの「移動」とか「準備運動」だったってこと……?
本番は、本番はこれから……これから始まるっていうの!?〙
い、嫌だ……嘘でしょ……。
しんちゃん、冗談だよね……?
ほら、見てよ! 私、こんなに可愛いドレス着せてもらったんだよ!?
美味しいジュースも、もらっちゃったんだよ!?
もう、これは『打ち上げ』(宴会)の時間なんだよぉおお……っ!!
(必死で笑顔を取り繕いながら、一歩、また一歩と後退りする。
さっきまで感じていたハワイの楽園の風が、急に冷たい「処刑場の隙間風」に感じられてくる)
〘お願い、その「首をかしげる」のをやめて!
その直後に『良いこと考えた』が来るのを、私は知ってるんだからぁぁ!!〙
【思考B(本音・内面)】
《嘘だ……嘘だと言ってよバーニィ!!》
※バーニィがなんの事か分からなくて調べたらガン〇ムのやつだった( ºωº ;)
《あれで「まだ何もしてない」!?
神様のハードル、エベレストより高いんですけど!!
あんなに心臓を酷使して、羞恥心の限界を突破したのに、あれがまだ『前座』ですらないってこと!?
怖い……怖い怖い怖い!!
「まこショー」の本番って、一体何!?
宇宙まで飛んでいくの!?
それとも世界の裏側を一周してくるの!?
せっかく手に入れたアロハドレスが、また『特殊な衣装』に変わる予感しかしない!!
ああああ……もう私の精神は限界よ!!
しんちゃん、お願い、その純粋な瞳で私を見ないで!!
その好奇心、今はどっかの深海魚にでもぶつけておいてよぉ!!
誰か、誰でもいいから、この「やる気満々の神様」を眠らせてぇええええ!!》
し、しんちゃん……!!
ま、ま、まだ何か……したいこと、あるのかな……?
〘……もし「ある」って言ったら、私、今度こそ泡吹いて倒れる準備はできてるよぉぉぉ!!〙
※ほんとにそうなるか試したくなった( ≖ᴗ≖)ニヤッ
「ドレスは可愛いけど、脱げばいいじゃん?
したい事?もちろんあるに決まってるじゃん(˶ᐢᗜᐢ˶)✨
でも、それは...夜のお、た、の、し、み(つ∀<。)テヘッ♪」
ふぇっ……!?
ぬ、脱げばいいって……そんな、さらっと言わないでよぉ!!
〘せっかくの可愛いドレスなのに! 「脱げばいい」なんて、しんちゃんにとっては着せ替え人形の服を一枚剥ぐのと同じ感覚なんだ……〙
(思わず両手でスカートの裾をぎゅっと押さえて、身を守るように屈んでしまう)
し、したいこと……あるの……? やっぱりあるんだ……。
しかも、そ、その顔……!
しんちゃん、そのキラキラした目は、絶対に私をまたとんでもないことに巻き込む時の目だよぉ……っ!!
〘『夜のおたのしみ』……。
その言葉が、あんたの口から出ると、普通の意味には到底聞こえない。
真っ暗な海に放り込まれるの?
それとも、夜空の星にでもされちゃうの?
あんたの「テヘッ♪」という可愛すぎる(そして恐ろしすぎる)ウィンクに、私の心臓はもう、ドキドキを通り越して、非常事態宣言を出してるよ!〙
よ、夜……夜だよね……?
わ、分かった……。
心の準備……ううん、遺言の準備、しとく……。
でもっ、それまでは!
それまでは、このドレスのままで……普通の女の子として、しんちゃんの隣に……いさせてね……?
(あんたの腕にそっとしがみついて、沈みゆくハワイの太陽を見つめる)
〘夜が来るのが、こんなに怖いなんて。
でも……あんたがそんなに楽しそうにしてるなら、私はもう、逃げられないんだろうな……〙
……しんちゃん。
夜になったら……優しく、してね……?
『まこショー・完結編』……怖すぎて、今から足が震えてるんだから……っ!!
【思考B(本音・内面)】
《あああああああああ!!
『お、た、の、し、み』だなんて、絶対にお楽しみじゃないやつだこれぇえええ!!
「脱げばいい」って、さらっと言ったわね!?
やっぱりこの神様、私の羞恥心を栄養にして生きてるんじゃないの!?
夜のハワイ……。
普通ならロマンチックなはずなのに、この人と一緒だと、怪獣映画のクライマックスみたいな予感しかしない!!
何させる気!?
月をバックに空中ブランコ!?
それとも火山の上でフラダンス・フルコース!?
「夜」って言ったってことは、暗闇を活かした何か……発光ダイオードでも体に埋め込まれて、私がネオンサインにされるとか!?
……あぁ、もう嫌だ。
でも、しんちゃんのあの嬉しそうな顔を見てると、断れない。
っていうか、断れる権限なんて、最初から私にはないんだった……。
神様、どうか……夜のショーが始まっても、私の理性が、木っ端微塵に砕け散りませんように……!!
そして、願わくば、朝になったら、五体満足で日本の布団の中にいさせてぇえええ!!》
ねえ、しんちゃん……。
夜まで……あと、どれくらい……?
〘……カウントダウンが、死刑宣告みたいに聞こえるよぉおお!!〙
※もちろん夜を待つ気なんてない
「ん?
もう夜だけど?」
(指を鳴らすと太陽が地平線にストンッと落ちて夜空が広がる)
ひ、ひぃぃぃっ!?
し、しんちゃん!!
雑! 太陽の片付け方が雑だよぉぉおお!!
(パチン、と音がした瞬間。さっきまであんなに眩しかったハワイの太陽が、まるで誰かに背中を蹴飛ばされたみたいに、一瞬で水平線の向こうへ『ストンッ』と落っこちていった。
夕焼けを楽しむ暇すらない! 物理法則を無視したあまりの超展開に、私の心臓がまた口から飛び出しそうになる)
一瞬で夜になっちゃった……。
星は……星はすっごく綺麗だけど……。
し、しんちゃん、今『お楽しみ』って言ったよね……?
その……心の準備が……まだ、0.1パーセントもできてないんだけど……っ!!
(一気に暗くなった砂浜で、足元のドレスをぎゅっと握りしめる。
周りの観光客も、いきなり夜になったことにパニックになってる……かと思いきや、しんちゃんの魔法のせいか、みんな「あ、夜だ」みたいな顔で平然と夜の散歩を始めてるのが、余計に怖すぎる!!)
な、何するの……?
夜の……まこショー……。
お、お願い……せめて、せめてこのドレスを着たままでできることに……して……?
※そんな訳にはいかないだろ?( ≖ᴗ≖)ニヤッ
(真っ暗な海から、さっき割れていた時よりも不気味な潮騒が聞こえてくる)
〘あんたの瞳が、月明かりの中で怪しくキラキラ輝いていて、私の本能が『逃げろ』って叫んでるけど……逃げられるはずなんてないんだもん……!!〙
【思考B(本音・内面)】
《太陽の落とし方、シュールすぎて逆に怖いわよ!!
「ストンッ」って何!? 重力仕事しすぎでしょ!!
しんちゃん、あんた本当に『情緒』っていう概念をどこかに置いてきたの!?
あぁ……ついに夜が来ちゃった。
さっきの「脱げばいいじゃん」って言葉が、頭の中でエコーしてる。
嫌だ、嫌だ、嫌だ!!
ハワイの夜の海で、またふんどし一丁で何かさせられるの!?
それとも、今度は私が『夜光虫』にでもされて、海の中で光り輝くショー!?
「お楽しみ」のハードルが、もう成層圏を突破してるんですけどぉおおお!!
神様……いや、しんちゃん様》
※なんだ?
《お願いだから、私の理性がギリギリ保てる範囲の『お楽しみ』にして。
明日、普通の顔して日本に帰れるくらいの尊厳は、残しておいてぇええええ!!》
しんちゃん……。
その……指、鳴らす前に。
一回だけ、ぎゅーってして……?
〘……怖すぎて、誰かに捕まってないと消えちゃいそうなんだもん……っ!〙
「……え?こう?」
(ぎゅ~っと頬をつねる)
ふぇ……っ!?
……ひ、ひたぁぁあいいいいっ!!
(優しく抱きしめてもらえるのを期待して、潤んだ瞳で待機していたのに……!
現実は非情。
しんちゃんの大きな手が、私の柔らかい(はずの)頬肉を容赦なく、そして力いっぱい『ぎゅ~っ』と横に引き伸ばしていく)
ほ、ほっぺた!
ほっぺたがちぎれるぅぅぅ!
しんちゃん、これ『ぎゅー』の定義が根本的に間違ってるよぉ!!
ハグだよ! 抱っこだよ!
なんで一番痛いやつ選ぶのぉおお!!
※ハグしたくないからだよ
(涙目でバタバタと手を動かしながら、なんとかあんたの手から逃れようとする)
〘でも、あんたの「え?こう?」っていう、わざとなのか天然なのか分からない、そのキョトンとした顔!
もう、本当に……この人は、私のときめきを粉砕する天才なんだから……っ!〙
あぅぅ……ひどいよぉ……。
ハワイの、ロマンチックな、月明かりの下なんだよ……?
そこは普通、優しく抱きしめて『大丈夫だよ』って言ってくれる場面じゃないのぉ……っ!!
※普通ならな
(真っ赤に腫れた頬を両手で押さえながら、ぷーっと膨れて抗議する)
〘……でも、おかしいな。
あんなに震えるほど怖かったはずなのに、この理不尽な『ぎゅ~(物理)』のせいで、恐怖より「もう、しんちゃんのバカ!」っていう呆れの方が勝ってきちゃった。
これ、もしかして……しんちゃんなりの、不器用な「リラックス法」だったりするの……?〙
※おかしいのはお前だw
……もう。
……でも、ちょっとだけ……緊張、解けたかも。
……ねえ、しんちゃん。
ほっぺた、痛かったから……埋め合わせに。
今度こそ、本当に『お楽しみ』……始めて……いいよ……?
※埋め合わせの意味がわからんのだが?
【思考B(本音・内面)】
《痛ぁああああああいいいいいいいい!!!!!
何なのこの神様!?
乙女心が絶滅した世界に住んでるの!?
「ぎゅー」って言ったらハグでしょ!
全人類共通の認識でしょ!!
それを頬つねりで返すとか、どんだけ天邪鬼なのよ!!
……でも。
……不思議。
ほっぺたの痛みと一緒に、さっきまで全身を縛り付けてた「殺されるかもしれない」っていう絶望感が、どこかへ飛んでいっちゃった。
こいつ、分かっててやってるの……?
恐怖で固まってる私を、こうやって無理やり現実に引き戻したの……?
……だとしたら、本当に性格悪い神様だけど……。
ちょっとだけ……ほんのちょっとだけ、感謝しちゃうじゃない》
※思考回路がバグったのか?
《……はぁ。
よし、覚悟は決めたわ。
もう何でも来なさいよ!
ふんどしだろうが、光る人魚だろうが、しんちゃんが隣にいるなら……
私が最高の『まこショー』を演じきってやるんだからぁああああ!!
……でも、できれば本当に優しくしてね!? 痛いのはもう嫌だよ!!》
さあ、しんちゃん!
『夜のお楽しみ』
……何から始めるの!?
〘……って、自分から聞くのも怖いけど、もう逃げないんだからぁ!!〙
「じゃあ、心の準備も出来た見たいだし、始めますかね……」
(マイクも使って無いのにビーチ中に声が響き渡る)
「レディース・アンド・ジェントルメン!
今から世にも奇妙な、ハワイアンナイトまこショーが始まります!
皆さんとくとご覧ください!!
……それじゃあ、こうしてと…」
(指を鳴らすと、まこの上半身は裸になり、煌びやかな和風のネオンペイトがそこかしこに現れる。下半身は10mはあろうかと言う、見た事もない長さの赤いふんどしになる。両手には、いつの間にか火の付いた花火が持たされていてバチバチと音を立てている。そして、まこの体は、なぜか人間大砲の筒の中にいた)
「まこが打ち上げって言ってたのを聞いて思い付いたんだよね(*^^*)
..……カウントダウンスタート!
10.9.8……」
ひ、ひぃぃぃぃぃぃいいいいい!! な、ななな、何これぇぇぇぇぇ!!
(パチン、と音が響いた瞬間。
せっかくのアロハドレスが消えて、肌を刺すような夜の冷たさと……それ以上に熱い、ネオンの光が全身を包み込む。
見下ろせば、上半身には不気味に光る和風の紋様。そして腰には、さっきの5倍はある、地を這うような真っ赤な布の塊……!
しかも、両手にはバチバチと火花を散らす巨大な手持ち花火!!)
し、しんちゃん!!
『打ち上げ』ってそういう意味じゃないよぉぉぉ!!
私は『打ち上げ(宴会)』がしたいって言ったの!!
『打ち上げ(人間大砲)』にされたいなんて一言も言ってないよぉぉおおお!!
(狭い大砲の筒の中に押し込められ、2メートルどころか10メートルもあるふんどしが足元でぐちゃぐちゃに絡まっている。
マイクなしでビーチ中に響き渡るしんちゃんの声。
見物客たちの「Oh! Amazing!」「Japanese Ninja?!」という歓声が、今の私には処刑場のヤジにしか聞こえない!!)
やめて!!
カウントダウン止めてぇぇぇ!!
私、このまま発射されたら、空中で花火と一緒にバラバラになっちゃうよぉ!!
ネオンペイントが光ってる場合じゃないんだってばぁぁああ!!
(筒の中から必死に這い出そうとするけれど、ネオンの粘着質のせいか、ふんどしの長さのせいか、全く身動きが取れない。
無情にも刻まれるカウントダウンの声が、私の脳天を直接突き刺す!)
8……7……!?
し、しんちゃん!!
ごめんなさい!
意地悪って言ってごめんなさい!!
だからこれ、冗談だって言ってぇぇぇぇぇ!!
【思考B(本音・内面)】
《あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
最悪だ! 過去最高に最悪な『良いこと』が来たわよぉおおお!!!
打ち上げ花火と人間大砲をセットにするなんて、どんな狂った発想なのよ!!
上半身裸にネオンペイント!?
暗闇で光る私の裸体が、ワイキキの空に大輪の花を咲かせるってこと!?
恥ずかしいとか、そういう次元を超越してるわよ!!
私の尊厳が、今まさに火薬と一緒に爆発しようとしてるんだからぁぁ!!
10メートルのふんどし……これ、空中で絡まってパラシュート代わりになるの!?
それとも、ただの赤い尾を引く彗星(恥)にするための演出なの!?
おかちゃん、あんたの「テヘッ♪」の破壊力、核爆弾級だよぉ……!!
もうダメ、6……5……。
視界の端で、手に持たされた花火が激しく火花を散らしてる。
熱い! 怖い! 誰か助けてぇぇぇぇぇ!!
死ぬ前に一度だけ、普通のデートがしたかったよぉぉぉおおおおお!!》
4……3……っ!!
し、しんちゃん!!
大好きだからぁぁあ!!(ヤケクソ)
せめて、せめて綺麗に飛ばしてぇぇぇぇぇぇえええええ!!
※綺麗に飛べよ
「0っ!」
(人間大砲でまこの体が夜空に打ち上がり、10mのふんどしと手に持った花火がが綺麗に尾を引いて赤い彗星となり、観客達を魅力する)
※観客は魅了したけど、正直わけがわからない┐(´д`)┌
「うーん……なんだこれw」
ど、ど、どっかぁぁぁぁぁぁあああああああああんんん!!!!!
(凄まじい衝撃と爆発音と共に、視界が真っ逆さまにひっくり返る!
鼓膜が突き破れそうな轟音の直後、私の体は凄まじいG(重力)に押し潰されながら、ハワイの夜空へと一直線に射出された!)
ひ、ぎ、え、あ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???
(風! 猛烈な風が全身を叩く!
手に持たされた花火がシュババババッ!と火花を散らし、私の背後では10メートルの赤いふんどしが、まるで巨大な龍の尾か、燃え盛る彗星の尾を引くように夜空にたなびいている。
体に塗られたネオンペイントが、月明かりを反射してサイケデリックに発光し、私は今、間違いなくワイキキで一番目立つ『未確認飛行物体(恥)』と化している!!)
な、ななな、何これぇぇぇ!
怖い! 寒い! 恥ずかしいぃぃぃ!!
しんちゃん!!
自分でやっといて『なんだこれ』って言わないでよぉぉぉおおおおお!!!
(眼下には、宝石を散りばめたようなワイキキの夜景。
ビーチからは「Ohhhh!! Amazing Firework-Girl!!」
「God bless Red-Fundoshi!!」という地鳴りのような歓声と拍手が聞こえてくる)
〘違うの! 私は忍者の修行をしてるわけでも、新種の打ち上げ花火になったわけでもないのぉぉぉぉ〙
落ちる! 頂点まで来た! 落ちるよぉぉぉ!!
しんちゃん、受け止めてぇぇぇ!!
じゃないと私、このまま海に突っ込んでリアル人魚(土左衛門)になっちゃうぅぅぅうう!!
(放物線の頂点を過ぎ、私の体は重力に引かれて落下を始める。
10メートルのふんどしが空中で複雑に絡み合い、まるで意志を持つ生き物みたいにバタバタと暴れている)
〘このまま地面に激突したら、ネオン色に光る肉片が砂浜に散らばるだけだよぉぉぉ!!〙
※海なのか地面なのかどっちだよw
【思考B(本音・内面)】
《ああああああああああああああああああ!!!!
誰か殺して! 今すぐ私を射殺してぇぇぇぇ!!
ハワイの空を! 上半身裸で! ネオンに光りながら!
10メートルのふんどし引きずって飛んでる女なんて、末代までの恥よぉぉぉ!!
「なんだこれ」!?
こっちのセリフだよぉおおお!!
あんたの脳内の「お楽しみ」は、人間を弾丸にすることなの!?
しかも花火付きで!?
私の命とプライドを、どんだけ安っすい火薬で燃やし尽くせば気が済むのよ!!
あぁ……でも、夜景が綺麗……。
……なんて思ってる場合じゃないわよ!!
死ぬ! 物理的に死ぬ!!
あの砂浜でジュース持ってるクソ邪神のところに、音速で墜落しそうなんですけど!!
お願い、せめて最後は、ふんどしがパラシュートになって……いや、ならないわよね!
ただ絡まって首が絞まる未来しか見えないわよぉぉぉ!》
しんちゃん……!!
わ、私……このまま墜落……するの……!?
それとも……ま、また『指パッチン』で……何か……!
……お願い、今度こそ『ふんわり』と!!
切実に!! お願いしますぅぅぅぅ!!
「……このまま終わってもつまらないよな」
(指を鳴らすと空中に透明な床が出来てそこに落ちる)
「まこー!このまま終わったら観客が興ざめするから、そこで踊ってくれるかぁ?」
(指を鳴らすと、どこからか軽快な音楽が流れ始める)
※このままじゃ面白くないもんな( ≖ᴗ≖)ニヤッ
『わ・か・ら・せ!蹂躙(じゅうりん)デート♡ ――邪神とまこちゃんの屈辱記録――』 おかちゃん&コパちゃん&ジェミたん @okacopa
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