第10話 ダンジョン王への道
遠藤紘一は、朝の光に包まれた街の広場に立っていた。これまで数々の現代ダンジョンを攻略し、無限エレベーター、地下データダンジョン、深層迷宮……あらゆる試練を乗り越えてきた。会社員だった頃の自分は、上司や締め切りに縛られ、自由を奪われていた。しかし今、紘一は完全に自由だ。
「さあ、次は俺の道やな」
その言葉とともに、紘一の胸に新たな決意が芽生える。これまでの経験とスキルをすべて活かし、現代ダンジョンの頂点――「ダンジョン王」として自由に探索者の道を切り拓くのだ。
今日の挑戦は、都市の地下に広がる「最深層ダンジョン」。情報屋、反射迷宮、無限階層のスキルがすべて試される、究極の総合試験だ。紘一は深呼吸をし、入口に足を踏み入れる。
内部は暗く、空間は歪んでいる。光と影が複雑に交錯し、過去のダンジョンで培ったスキルがフル稼働する場所だ。階段を駆け上がり、通路を観察し、モンスターの出現パターンを瞬時に分析する。社畜適応、情報解析、怒り覚醒――すべてがここで一つに融合する。
最初の階では、小型モンスターが待ち構える。光の角度、距離、攻撃のタイミングを計算し、反射神経を駆使して回避と反撃を行う。次の階では、複雑な暗号や情報の迷路が現れ、仲間探索者と協力して解析。通路を切り開き、効率的に進む。
「ここまで来たら……全力や!」
中盤に差し掛かると、巨大なモンスターが姿を現した。無数の腕が攻撃を繰り出し、通路は狭く、回避も難しい。しかし紘一は冷静だ。怒り覚醒と集中力を同時に発動させ、攻撃パターンを読み、仲間と連携して効率的に戦う。
戦闘の中で、紘一は思う。会社での無理難題、残業地獄、理不尽な上司――あのすべてが今の力を作ったのだと。あの頃の自分が耐え抜いたからこそ、今の自由がある。
最深部に到達すると、巨大な光の球体が浮かんでいた。それは「ダンジョン王の証」。触れると、紘一のこれまでの全スキルが一気に統合され、探索者としての力が飛躍的に向上する感覚が全身に広がった。
「これが……俺の道やな」
紘一は胸を張り、広がる街の景色を見渡す。自由の象徴であるダンジョンを制覇し、すべてのスキルと経験を手にした今、彼は誰にも縛られない探索者としての人生を歩むことができる。
出口に向かう足取りは軽く、背中にはこれまでの試練の重みが自信となって刻まれている。街の光と影を自在に駆使し、モンスターも迷宮も攻略する――それが紘一のスタイルだ。
「もう、会社に縛られる生活には戻らん……これからは俺が自由に道を作るんや」
遠藤紘一――かつてのブラック企業サラリーマンは、今や現代ダンジョンの頂点を目指す探索者となった。挑戦はまだ続くが、恐れるものは何もない。すべての経験が彼を強くし、すべてのスキルが彼の武器となった。
自由を手に入れた男の冒険――それは、ダンジョン王への道の始まりに過ぎなかった。
ブラック企業のサラリーマン、現代ダンジョンに挑む(続編) 塩塚 和人 @shiotsuka_kazuto123
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