第6話 ボス戦

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 役職 アタッカー


 Lv1 → 6

 ATK(攻撃力) 10 → 25

 DEF(防御力) 6 → 13

 VIT(生命力) 7 → 14

 RES(抵抗力) 5 → 11

 DEX(命中率) 3 → 8

 AGI(反応速度) 10 → 29

 MAT(魔法力) 2 → 4

 LUK(運) 8 → 15


 スキル なし


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 そうか、ゴブリンを10匹くらい倒してたからレベルが上がっていたのか。完全に忘れていた。挑んでも大丈夫そうだな。

 1層のボス、推奨レベルは3だ。今の俺なら十分勝てる相手だろう。

 ステータスの左下には、インベントリの項目があり、ゴブリンとスライムのドロップ素材が入っていた。

 基本的に素材は鉱石で、協会のほうでお金に変換が出来る。たまに倒したモンスターが持っている武器がドロップし、お金として売れる事も出来るし、武器として使用も出来る。

 今回は全部鉱石みたいだ。

 これを全部売ったらどのくらいになるのか……後で換金してみるか。

 地図に書いてあるとおりだと、ここを右に曲がればボス部屋があるとか──あ。

 

 頑丈そうな扉とセーブポイント的なちょっとした広さの空間がそこにはあった。

 この感じ、ボス部屋に続いている気がする。

 今の俺の装備は、剣と手榴弾が1つあるのみだが、剣さえあれば十分だろう。

 持っていた剣を見つめ、刃毀れがないか確認し、手榴弾が左下ポケットに入っている事を覚えておく。

 意外とこういった作業が大切だったりするのだろう。


 いざ──出陣。


 俺は、扉をゆっくりと開けボス部屋へと侵入すると、情報で調べたとおりにそこにはオークが待ち構えていた。

 デカイと思いつつも、カグは剣を構え奴を凝視する。

 そして扉が完全にしまった瞬間、一気にスピードを上げ突っ込んだ。

 狙うは首、一直線。


 思ったより足が速いな──!? 現実世界よりも明らかにスピードが違うぞ。調整が難しい、なら単純な突き上げならっ。


 あっという間に奴の元へと辿り着き、カグは剣を奴の脇腹へと突き刺した。まだ致命ではないのか、オークは肉切り包丁をカグ目掛けて振り上げる。

 

 シュッ──。


 奴のその得物をサイドへジャンプし躱したと同時、左肩を横に斬る。


 イケる! 予想よりも遅い、いやもしかしたら俺が速くなっているのか。

 最後に背中を裂けば──終わりっ!


 オークの背後に回った俺は、反応すらさせず縦一文字に背中を裂いた。奴はグギ……と声をあげ、粒子となって消える。

 そして、鉱石を再びゲットした。


 ふぅ──終わったか。まぁこんなもんだよな1層なんて。とりあえず、次は2層へ行くか。

 2層も3層も大して変わらないみたいだから、サクサク進もう。


 そして道中のモンスターを倒しながら突き進み、気づけば4層ボス部屋へ。


 4層のボス、ハイトンマンにはギミックがある。それは距離減衰だ。

 距離減衰はボスに近いほど、ATK《攻撃力》が低くなりダメージを与えにくくなるという。だが、遠くにいればいるほどATK値は上昇してダメージが与えやすくなる仕組みだ。

 遠距離武器が無い俺にとって、結構厳しいギミックで推奨レベルは6だから、レベル差でアドバンテージも取れないだろう。

 既に扉はしまっており、このボスを倒さないとここから脱出する事は出来ない。他の方法として、脱出用ワープ石があるが、かなり高値で初心者は手が出せない人も多いだろう。俺もその1人だ。


 とりあえずあのデカイ巨体をスピードで翻弄して、ちまちま削っていく戦法でいこう。

 

 作戦を立て終わり、剣を構えたその時だった。ハイトンマンは2メートルはあろうその斧を地面へと叩きつけたのだ。

 それにより、壊れる地面と舞う土ぼこり。一瞬姿を見失ったものの、ハイトンマンは土ぼこりを掻き分け、カグへと狙いを定める。

 

 特攻か──!? でもスピードは遅い。十分に対処出来る。


 奴が振り下ろす斧を、剣を使って上段で受け止める。勢いと圧で重い一撃だが、それでもカグは問題無く受け止めてみせた。

 斧と剣のつば迫り合い。

 実力が拮抗し、互いに激しく勝負を争う。相手の攻撃を剣で受け止め、押し合い、いなして、中心を狙い突く。

 何度も何度も剣の切先は奴の肉を裂き、ハイトンマンを衰えさせる。

 そして遂に首を取った──!


 肉を絶ち骨まで届いただろう首元を見て、勝負を確信した。しかし、まだ終わってはいなかった。

 ハイトンマンとの至近距離での斬りあいは、カグのATK値を大幅に減少させる。

 それにより、絶妙に力が足りず首を落とす事が出来なかった。


 戦闘は続行する──。


 ハイトンマンが太い足を素早く引き下げた事により、互いに距離が出来た。

 カグの現時点でダメージは、奴の切先が肩付近に当たった程度。かすり傷ではあるが、血が出ている。これがもし現実で食らっていたならば、もっと血が溢れ出しかすり傷では済まなかっただろう。


 楽しい──! そうだよ! これを求めていたんだ! 一撃では終わらず、勝つために試行錯誤出来るこの時間が──この世で一番楽しい!

 ハイトンマンは遠距離ほど、ダメージが上がるから、飛び道具を使えばいい訳だ。幸い距離は離れた今なら、いけるだろ……!

 ミスったら終わりのギャンブル、賭け金は俺の命──!


 強く握っていた剣のグリップを緩め、カグは槍投げ選手のような体制をとった。腕を後ろに大きく引いて後傾姿勢を作れば、タメが生まれる。

 リズムよくステップし左足を強く踏み込んだ。

 そして運動エネルギーをマックスにして剣を奴へと思いっきり投げる。

 飛び道具などの遠距離は、基本的に本人の技術と感覚だ。それは現実世界でも同じ事ではあるが、ただ1つだけ現実世界と違う点が存在する。

 ダンジョン内では、狙った箇所に攻撃する際、『エイムアシスト』がつく。FPSゲームではよく聞く言葉だろうが、ダンジョンでも同じ意味を持っている。

 簡単にいえば、DEX《命中率》の数値が高いほど、エイムアシストがより強力になって狙った箇所を外さなくなり、ミスが少なくなるんだ。

 アーチャーという役職は、この命中率が高くないと務まらない。

 

 ただ──今回に至っては、エイムアシストを使用せずとも、ハイトンマンの脳天へ命中した。球技スポーツは得意だった為に、こういった感覚は研ぎ澄まされているので遠距離でのスナイプは朝飯前だった。

 

 まぁ……外したら終わってたから、結構ビビったけども。


 カグはハイトンマンを撃破し、4層を攻略した。気がつけば午後3時で、リズさんとの待ち合わせ時間に近づいてくる。

 一旦、攻略を辞めて4層から待ち合わせ場所まで歩いて向かった。



 リズさん──どこにいるかな?

 噴水前に集合とは言ってたけど、リズさんの姿が見当たらない。待ち合わせ時間から、5分過ぎてるんだけどな。


「──わぁ!」

「え」


 背後から、突如として現れた天使──いや小悪魔の悪戯いたずら。不覚にもビクッとしてしまった。

 

「ねぇねぇビックリした? ビックリしたでしょ〜」

「してませんよ……それよりリズさん。5分の遅刻ですよ!」

 

 カグは誤魔化すように話を入れ替え、リズへの遅刻へ言及する。


「えーもぅ、釣れないなぁ。可愛いお姉さんが来てくれたんだよ? もっと喜んでも良いんじゃないかな〜」


 いや確かに可愛いけども……じゃなくて。銀髪の少女のポニーテールは最高級に可愛いけども──じゃなくて。


「それよりっ、報酬を渡してくださいよ! 約束どおり持ってきているんでしょうね?」

「ちゃんと持ってきてるよ。じゃあここでは渡せないから行こっか──カグ君」


 そう言うとリズは俺の手を握ってきた。


「どこへ──?」

「ん~デートへ?」


 この人はまた突拍子のないことを……。

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2026年1月3日 09:00

ソロダンジョン〜100層までソロ攻略〜 ゆりゅ @yuryudayo

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