覚書二
今夜も眠れない。
窓の外は暗い。月は出ていない。星が、いくつか見える。あの星々の向こうに、殻はあるのだろうか。それとも、殻という概念だけがあって、物質としての殻は存在しないのだろうか。
わたしは、自分が何を探しているのか、わからなくなっている。
最初は、欠落を記録しようとしていた。
だが今は、
欠落だったのかどうかすら、わからなくなっている。意図的な省略かもしれない。あるいは、省略ですらなく、最初からなかったのかもしれない。
なかったものを、なかったと書くことは、できるのだろうか。
わたしは注釈官である。存在するものを記録する者である。存在しないものを記録することは、わたしの仕事の範囲を超えている。
だが、存在しないものが、存在するかのように書かれていたのだとすれば。
その「存在するかのように書かれた」という事実は、記録すべきではないのか。
わたしは、わからなくなっている。
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