第2話 それは違うでしょ…

 意識が覚醒する、転生は完了したようだ。芹香は周囲を確認する。岩、岩、土、岩、薄暗い景色が広がっている。慌てて自分の身体をみる、灰と黒の中間の色をした自分の身体がみえた。


(???????)


 芹香は完全に思考停止した。

 数十秒後、漸く思考が纏まりはじめる。


 状況が意味不明だけど、神様から貰った鑑定スキルは使えるはず!取り敢えず使ってみよう!


 芹香は自分に向かって鑑定スキルを発動する


(<鑑定>!)

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 名前:セリカ

 種族:スモールバット


 Lv1/5


 HP 8/8

 MP 5/5

 力  3

 頑強 1

 魔力 1

 対魔 1

 俊敏 7


 <スキル>

 鑑定 暗視 聴覚強化

 ===============================

 スモールバット…?蝙蝠ってこと?しかもスモールだし…転生して人間じゃないってどういうこと?もしかして、転生の要望って転生先も込みってこと…?それは違うでしょ…


 それにこの貧弱なステータス、これじゃ生き残るのも難しくない?暗視と聴覚強化は蝙蝠の標準スキルだろうし…あれ?私鑑定スキルもってるだけのただの一般蝙蝠?


 芹香は鑑定結果を見て、色々な考えが頭の中を駆け巡り、また暫くのあいだ硬直した。しかし、すぐ考え直す。


 いや、転生したのにまた直ぐに死にたくはない。この洞窟の中でどうにか生き抜こう!

 生きる為にはまず、水・食べ物の確保かぁ蝙蝠って何食べるんだっけ?虫?野菜?いや魔物っぽいし普通に肉かな?取り敢えず移動しよう。


 芹香は水場を求めて移動を始めた。


 ********


 暫く飛んで移動していると、唐突に強烈な光が芹香を襲う。


 眩しい!これは…外?でも、蝙蝠だししばらくは洞窟の中で過ごすほうがよさそうかな?

 よし!引き返そう!



 獲物であるミミズを発見した。逃がさない様なるべく音を立てないよう近づき、急降下して襲いかかり、一口で丸呑みにした。


 (おいしい!あれ、人間の頃の感性でいえばミミズなんて触りたくもなかったのに、躊躇いもなく食べちゃった。感性も蝙蝠のものに近づいてるのかな?人間の感性のままじゃなくて助かった〜)


 その後もミミズを見つけては食べを繰り返しながら水場を探して移動を続けた。


 ******


 やっと水場見つけた〜洞窟もここで行き止まりみたいだし、ひとまず、しばらくはここを拠点に活動しようかな。

 これで生きてはいけそうかな?


 一息つけたし、現状確認するかぁ

(<鑑定!>)


 ===============================

 名前:セリカ

 種族:スモールバット


 Lv2/5 (+1


 HP 10/10 (+2

 MP 6/6 (+1

 力  4 (+1

 頑強 1 (+0

 魔力 2 (+1

 対魔 2 (+1

 俊敏 9 (+2


 <スキル>

 鑑定 暗視 聴覚強化 体術Lv1(new)

 ===============================


 なんかレベルが2にあがってる?!まさかミミズでレベルアップしてた?体術のスキルも新しく手に入ってる。でもステータス自体は貧弱そのものだなぁ、やっぱり魔物を倒さないとなのかな?


 この貧弱なステータスでも倒せそうな魔物、当てはある。スライムだ。この水場に向かってくる途中、何匹かいるのを確認している。

 自身もかなり弱いであろう為、下手に手は出さず、水場の発見を優先していた。


 弱いからって何もしなければ弱いままだし、水場も見つかった今がタイミングだよね。

 芹香はスライムの討伐に向かう事にした。


 今、スライムの上側を飛んでいる。


 取り敢えず、<鑑定>!

 ===============================

 種族:スライム


 Lv???


 HP ???

 MP ???

 力  ???

 頑強 ???

 魔力 ???

 対魔 ???

 俊敏 ???


 <スキル>

 ???

 ===============================

 、、、スライムである事以外何も分からん!!そんな事で良いんですか鑑定スキルさん…

 分からないなら仕方ない。攻撃しよう!


 スライムめがけて体当たりをしたり、噛みついたりと様々な攻撃を試した。

 がしかし、スライムに対し、何度攻撃をしても効いている感覚がないのだ。

 どうやらスライムは物理攻撃に対して大きな耐性を持っているらしい。


 効いてる感じはしないし、体当たりで反撃されて結構痛いし、このままではいけない。

 こういうスライムは大抵核的な物があってそれが弱点な筈。だから少しずつ削るんじゃなくて一気に決める!


 そう芹香は決心すると、捨て身のつもりで全力急降下し、スライムの核めがけて攻撃する。

 芹香の攻撃はスライムの核に何とか命中し、倒すことができた。


 スライム倒すだけでこんな苦労するなんて、私、弱いなぁ〜

 そんな戦闘の余韻に浸りながら芹香は水場の天井に戻る。そして、

 <鑑定>!


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 名前:セリカ

 種族:スモールバット


 Lv5/5 (+3 ≪進化可能≫


 HP 4/16 (+6

 MP 9/9 (+3

 力  7 (+3

 頑強 2 (+1

 魔力 3 (+1

 対魔 3 (+1

 俊敏 15 (+6


 <スキル>

 鑑定 暗視 聴覚強化 体術Lv2(+1

 ===============================

 そこには≪進化可能≫の文字があった

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特典付きで転生したら何故か蝙蝠?! すの @suno617

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