黒糖ミルクラテ
彼女が長い髪をポニーテールにまとめていた。黒いリボンをつけているほかは、スニーカーに濃い紺のダボっとしたデニム、白いTシャツというなんともラフなコーディネートである。ミニスカートの時と打って変わった印象なので、はじめわからなかった。注文時のあの声で気付いたのである。「ミックスサンド、トマト抜きで。あと黒糖ミルクラテもお願いします」鈴のような幼い声と、丁寧な口調とのコントラストが鮮やかだ。なかなか読み終えない新書を片手に、チラチラと彼女を観察してしまう。何もかも難解な文章の筆者のせいにしてしまえ。Tシャツはかなりジャストフィットしていて、案外と胸が大きかったのだなあということに気付かされる。胸元の刺繍が横長に伸びていた。影の感じから、形良くまあるいのがわかる。ああいった布に包まれた胸というものは、つい横からも眺めたくなってしまう。などと考えていたらタイミングよく立ち上がってくれた。ちょうどお会計しようという頃合いだったらしい。もう少し眺めていたかったが、仕方あるまい。私の卓の横を通りすぎた彼女からは、ホワイトリリーの瑞々しい香りがした。私はそれを彼女の香りとして、あの鈴の音の声と共に、今でも忘れずしっかりと記憶の片隅に留めている。そうそう、横から見た乳房は、やはり思った通り、かなりの高さを持ち、彼女自身それに自信を持っているのか胸をピンと張っていて、あれもなかなかに忘れ難い光景である。
エビドリアの女の子 小抜一恩 @Nupyoon
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