オリジナルブレンド

偶然駅の方に用事があって、例の喫茶店の前を通りがかったら、ドリアの女の子がカレーを食べていた。私が以前注文したのと同じのである。思っていたより辛かったらしく、涙目になっている。その様子の微笑ましさから、思いがけず笑みが溢れてしまい、気がついたらドアを押していた。ドアベルの音に釣られてか、彼女がこちらを見遣る。目が合う。光に当たると茶色い瞳をしているのだなあという感想を持った。向こうはどう思ったのであろう。すぐに視線は離れていってしまった。レモン風味の冷やを店員が持ってきたので、そのままオリジナルブレンドを注文した。持ち合わせていた新書の頁を手繰るが、わかるんだかわからないんだかわからない文章の羅列で、うんざりした私はつい彼女の方へ目をやる。今日は私服姿である。ミニスカートから覗く膝小僧が薄桃色で繊細な印象だ。肌が白いからその色が一層よく映える。ウエストのところでキュッとくびれているのが、ほんの少しだけエロティックに思えた。と、立ち上がる。お手洗いへ行くらしい。膝小僧と同じような薄桃色の、レースの縁取りのついたハンカチを携える様がしっくりきて、しっかり躾けられているのだろうなあと思った。親御さんがほんの少し羨ましくもあった。膝の裏側のエクボがなんとも言えず愛らしかった。

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