コーヒーフロート

以前見かけたエビドリアの女の子が、今日も喫茶店にいた。窓辺に座っているのが見えたのだ。つい店に入ってしまった。今日はコーヒーフロートを頼んだらしい。つまらなそうに足をぶらつかせたり、ヒールの踵だけ床につけて足首をくりくりまわしたりして、時々ストローに口をつける。私は持参していた文庫本を片手に、物語にちょうどひと段落つくたび彼女の方へ目をやったりしていた。だんだんとコーヒーが少なくなると、パフェかフロート専用といった感じの長いスプーンを器用に使い、バニラアイスとコーヒーが触れている部分の、しゃりしゃりしたところを探り出しては口に運んでいる。その様子があんまり涼しげなものだから、つい私も同じものを注文してしまったのだった。

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