エビドリアの女の子

小抜一恩

エビドリア

ふらっと入った喫茶店で、エビドリアを食べている女の子がいた。一口掬うごとに、フウフウ息で湯気を掻き分け、どうにか口に運んではハフハフしている。冷ますためなのか、一口ごとにスプーンを置き、窓の外を眺めたり、手持ちの文庫本をペラペラめくったりしていた。猫舌であるらしい。スプーンを口元に持ってくるたび右耳にかけていた髪がはらりと落ち、それを左手で押さえる仕草が、何とも言えず艶かしく、それでいてドリアをフウフウ冷ます様なんかは幼くって、その対比がどうにも魅力的なのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る