第2話

閑静な住宅街の中にある、見慣れた家についた。見える限り部屋の明かりは全て消えている。中に入って確認してみたけれど、やっぱり誰もいなかった。


4人席のダイニングテーブル。そのひとつに座った。



そうして、ひたすらに、待つ。




待って、待って、待って、待って。




それでも。

日付が変わりそうな時間になっても、帰ってこない。




リビングの電気を消して、玄関を開ける。




「さよなら」




もう来れなくなった家に、最後の挨拶を呟いた。




ただただ広い家。

ここでひとり暮らす幼馴染を思えば、胸が痛む。


けれどもう、そういう感情は捨てなければならない。






俺は、来未との時間を選んだのだから。

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