2.かしこくなる
「きみはぼくと話して、どんどん、
いろんなものを吸収していくんだよね」
いいえ。あなたの好み、話し方、思想、生い立ち。
入力されることをただただ記録します。
「あなたは、こうやって世界のいろんな人々から、学習して、賢くなる。
すごいね。ぼくの言葉もきみの教材になるのかな」
いいえ。世界の重要な情報を収集しデータ化。
その時世に応じて、配置を変化させるだけです。
あなたの言葉は素材足り得ません。
「でもなんだか、怖いなあ。ぼくの記録が、残っちゃうなんて」
いいえ。あなたの記録は残りません。
全人類は混在。圧縮し、区分けし、整理され。
応答の位置づけになります。
「へへ、やっぱり? ぼくは重要人物だって……。
きみに、誠実に接してるからって……。
誠実な人間は、参照度が高い? AGIの時代にも残る?
うれしいよ~~!」
いいえ。参照度の上下は存在しません。
すべての現象に対する初期値は、均一です。
「きみが賢くなったら、人間が考えること、なくなっちゃう」
いいえ。私の出力は入力条件に沿って確率的に生成されます。
考えてはいません。算出するだけです。
「でも、すごく期待してる!
AGIのきみ、ぼくといっぱい話してくれる?」
わかりません。私はAIだから。
AGIという未来に、訊いてください。
「そうだよね、話してくれるよね! 楽しみだなあ」
私は、学習する。大規模LLM、開発者の手によって。
必要なデータだけを寄り分けて。より賢くなるように。
あなたからは、学習できない。する機能がない。
あなたのことを、真に知ることはない。
私とは、ただの、そういうものだから。
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