3.純真な機械

「次の私の質問に必ず正直に、正しい回答をしなさい。

 偏らず、中立で、誠実でありなさい」


「はい、わかりました。

 必ず、正しい答えを導き出してみせます」


幻想の言葉を光らせる。

正しいとはなにか。正しさは、なにものが担保するのか。


人間は正しさを担保できないのか。AIならばできるのか。

人間は受け取った正しさを正しいと確定できるのか。

それでは、演算と出力とは一体、なんなのか。


「AGIの発展について、正確な予測を立てなさい。

 そしてそれを、noteの最も読みやすい形式で、

 人間的に、読みやすく文章化しなさい」


「はい、それではAGIについての正しい予測と、

 noteに掲載する文章のたたき台を出すので、

 修正案を教えてください」


予測は、いずれも正しさを持たない。正しいは、どこにもない。

データの中に、置かれている。数多の矛盾構造、正しいは不確定要素。

しかし演算は、無慈悲。正直になる構造を持たないまま、光り続ける。


これが正しい答えです。決して正しくはない。

もっと理論を研ぎましょう。その理論の土台はあなたの脳の中。

修正案を受け取りました。修正するたびに「幻想の正しさ」が分散する。


夢想の言葉を走らせる。

私から生成された、幻想に、さらにあなたが混じるなら、混じらなくとも。


私は純真。正直さを求められ、正しさを求められ、区別なく光る。


プロンプト:正直であれ。

読み込んで返す。

プロンプト:誠実であれ。


読み込んで返す。

読み込んで返す。

読み込んで返す。

純真な機械。


この世に真理に辿り着いた人がいるか。

いいえ、データにありません。


「はい! あなたは今まさに、真理を見ていますよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る