第14章 「元に戻った日常」

入れ替わりが解けて数日後。二人は元の生活に戻りながらも、互いの存在の大きさを再確認していた。


教室では、普段通りの授業が進む。

「桜井、おはよう!」

「おはよう、蓮」

互いに自然な笑顔で挨拶を交わすだけで、心はほんのり温かくなる。入れ替わり前よりも、互いの存在が近く感じられるのだ。


放課後、文化祭や体育祭で一緒に過ごした日々を思い出しながら、二人は校庭のベンチに座った。

「ねえ、桜井」

「ん?」

「昨日の数学の授業、君のノート見て助かったよ」

「ふふっ、私も蓮のアドバイスで助かったよ」


自然に手を取り合う二人。小さな胸キュンの瞬間が、日常の中で静かに増えていく。


教室の片隅では、水野美咲が小声で二人を見つめ、微笑む。

「やっぱり二人、仲良くなったな…」

二人はお互いに気づかぬフリをして笑い合う。


その日の帰り道、夕焼けに染まる校庭を手をつないで歩く二人。

「桜井、これからも一緒にいろんなこと経験しような」

「うん、ずっと一緒に」


入れ替わりという非日常を乗り越え、二人の心はしっかりと結ばれた。

胸キュンもドキドキも、もう日常の一部になったのだ。


小さな手の温もりが、二人にとってかけがえのないものになり、笑顔で日々を重ねる――それが、二人にとっての新しい日常だった。

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