第13章 「元に戻る日」
数日後、二人は図書室で古い本の最後のページを読み進めていた。
「桜井、ここに書いてある…“互いの想いを確かめ合い、光の欠片に触れることで元に戻る”」
蓮(咲)がページを指さす。咲(蓮)は息を呑む。
「つまり…私たち、もうすぐ元に戻れるってこと…?」
咲(蓮)の声は震えながらも、期待と少しの不安でいっぱいだった。
その日の放課後、二人は校庭の秘密の場所に向かう。そこは文化祭の準備中に偶然見つけた、夕日に光る小さな石がある場所だった。
「ここで…やるのか」
「うん。互いの気持ちをちゃんと確かめながら」
二人は手を取り合い、互いの瞳をじっと見つめる。言葉よりも先に、心が通じ合う瞬間。
「桜井…俺、ずっと君のことを思ってた」
「私も…蓮のこと、ずっと好きだった」
その瞬間、光の欠片が二人の手を包み込み、眩い光が校庭を照らす。
「わっ…!」
咲(蓮)は驚きながらも、蓮(咲)の手をしっかり握る。光は二人を柔らかく包み込み、身体の違和感がふっと消えた。
「…戻った?」
「うん…戻ったみたいだ」
二人はお互いの身体を確認し、笑い合った。心の奥にあった不安も、すべて消え去った瞬間だった。
夕焼けの校庭で、二人は手を取り合ったまま並ぶ。
「桜井…これからも、ずっと一緒にいよう」
「うん…私も、ずっと一緒にいる」
入れ替わりという奇跡は、二人の心をさらに深く結びつけ、胸キュンな恋の始まりを確かに刻んでいた。
光の余韻の中、二人は肩を寄せ合い、笑顔で未来を見つめる――非日常がくれた、最高の宝物を胸に。
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