第2話・手間のかかるメイドだけど・・・。

俺んちにメイドとしてやって来たルネ・・・本当に基本的なことしか知らない

と来てる・・・一応足し算引き算掛け算はできるみたいだ・・・だから買い物

くらいは行けるだろう・・ひらがな、カタカナはいけるけど漢字の読み書きは

まるでダメ・・・。

常識的なこともイマイチ・・・そんなのでメイドカフェのメイドさんなんか

勤とまるのか?って思ったけど・・。


「いらっしゃいませ〜ご主人様〜萌え燃え〜」って言って注文されたモノを

客に運んでりゃ〜いいんだから知識なんて必要ないか?

逆に俺んちにいる方が大変かも。


以前、テレビで女子高生に日本列島が描けるかどうかやってたけどルネにも

日本列島が描けるかやってみた。

そしたら四国と沖縄が海に沈んでいた。

まあ、沖縄は小さいから大目にみるとして四国はな〜。


で、描けなかったら何か問題でもあるんでしょうか?って言われた。

開き直ってやがる。


まあそりゃ今は笑ってられるけど、あと数十年か数百年後には日本列島も海に

沈んでるかもしれないけどな。

まあ、いいよ・・・日本列島なんか描けなくても美味い飯が作れたら・・・。


手間のかかるメイドだけど、それ以上に俺の生活が楽しく変わりはじめた。


アンドロイドとは言えルナも人間の女となんら変わらない・・・男だけの家に

女って存在がいるだけで家の中がパ〜ッと明るく華やかになるよな。


それは朝起こされる時にも感じる気持ちよさ。

俺が起きる前にルネが先に起きていて頃合いを見計らって俺を起こしに来る。

目覚まし時計の音より可愛い女の子の声の方がいいに決まってる。


「おはようございますぅ裕太様・・・朝ですよ〜起きましょうよぉ」


朝は起きづらいもの・・・起こされても起きたくないもの。


「起きないんですか?」


「もうちょっと・・・」


そしたらルネは、俺の鼻を指でつまむ・・・そうしておいて俺のクチビルを

自分のクチで塞ぐ・・・でそのまましばらく待ってる。


そんなことされたら息ができなくなるだろ?・・・苦しいって・・・。

だから起きなきゃいけなくなる訳で、まあそれはいい方法だって思うけどな・・・。


でもルネは男にキスするってどう言うことか分かってないんだろうな。

俺を起こす手段って思ってるんだろう。


なんせルネはカフェじゃ客にサービス精神旺盛なメイドとして作られてるから。


俺は一人で寝起きしてた時と違って朝が断然楽しくなった。


それならと俺は学校から帰るとルナを連れてスーパーに食材を買いに行って

料理だけでも作れるよう彼女を特訓した。


そのおかげでルネは一週間もしないうちに俺の弁当くらいは作れるようになった。

飲み込みの早い子だよ・・・人間と違って一度覚えたことは忘れない。


で、休日はいいんだけど普段、俺は学校がある・・・親父は帰って来ない。

ルネ一人家に残して学校へ行ってる状態だけど・・・心配。

一応家を出る時、外には出ないように釘を刺しておいて俺は学校へ出かける。


そしてある日、俺は昼になって弁当を持って来るのを、きっちり忘れてることに

気づいた。

仕方ない購買部にパンでも買いに行くか、そう思っていたら


「お〜い・・・寝言〜・・・可愛いメイドさんがお前に用だって来てるぞ〜」


「え?・・・ルネ?・・・まじか?よく学校の場所が分かったな?」


教室の後ろ側の入り口にルネが俺の弁当を持って立っていた。

学校にメイドなんてめっちゃ目立ってるし・・・みんなルネに大注目だよ。

ルネは飛びっきり可愛いからクラスの男どもからちょとしたどよめきが起こった。


「裕太様・・・お弁当お持ちしました」


「裕太様だってよ〜・・・寝言が?・・・裕太様?」


「やかましい・・・完二・・・おまえは余計なこと言わなくていいんだよ」


俺を茶化したのはアホで女に見境ない猫屋敷 完二ねこやしき かんじ・・・。


「ルナ・・・ありがとう・・・もういいから帰って帰って・・・ここには

長くいない方がいい思うからな?」


「寝言・・・いや裕太様〜・・・このメイド、誰だよ?」


「誰でもいいんだよボケ・・・完二、おまえは介入して来るな」


とりあえずその日はルネを帰したけど、彼女の存在がクラスの連中に知られた。

まあ知られても、お手伝いさんなんだから別に隠す必要もないけどな。

でもルネは目立ちすぎた。


しかもその日から俺はクラスのみんなから裕太様って呼ばれるようになった。

で、それだけじゃ〜終わらない・・・ルネが可愛いもんだから、やっかんだ

男子が俺とメイドは怪しい関係じゃないのかって、あらぬ噂を広めやがった。


ルネは一度学校へ弁当を持って来たことを、きっかけにそれから毎日学校へ

弁当を持って行くって言い出した。

仕方ないよな・・・朝、俺が学校へ行く時まで弁当が出来上がらなくなったん

だから・・・。

昼になるとルネは弁当を持って学校にやって来るようになった。

まるでそれが自分のルーティーンみたいに。


だから裕太様は毎日メイド同伴で学校に来てるって、それが校長の耳にも届いた

みたいで、だけど注意も受けず何も言われず普通にスルーされた。

この学校の先生どもは校長も含めみんなノ〜天気でユルいんだ・・・だから自由

なのかも。


で昼、学校に弁当を届けたルネ・・・まるで生徒みたいに居座っちゃって、で

帰れって言っても帰らない・・・だから俺と一緒に下校するようになった。

噂になっても仕方ないよな。


ちなみにルネは100メートル1秒で走るらしい。

弁当の中身が崩れてないのは偉い。

でもルネがメイドの衣装のまま猛ダッシュしてる姿を想像したらちょっと怖いよな。


つづく。



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残り物には福がある?。 猫の尻尾 @amanotenshi

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