第2話



 車が再び動き出す。

 美春は悔しいやら悲しいやら頭も心もぐちゃぐちゃに乱れていた。


 しばらくすると車は再び停車して美春は男たちに古い倉庫のような建物に連れ込まれる。

 床には古ぼけた絨毯が敷いてありその上に美春の身体は転がされた。


 起き上がろうとした美春の身体を男たちが押さえ付ける。



「とりあえず制服を脱がすか?」


「いや、制服を全部脱がしたら女子高生とヤッてる気分が失せるだろ? ここは制服を破いて半裸の淫らな恰好がそそるんじゃね?」


「いいね! それ採用!」



 男の一人が制服の上着のボタンを外し左右に広げる。

 ベストのボタンも外した男は白いシャツをナイフで切り裂き美春の白いブラジャーを露わにした。



「おお! 白いブラって清楚でいい感じ!」


「う! 俺、この姿だけででそう!」


「ハハハ、今、だしたら早漏野郎よりひでえぞ!」



 男たちの笑い声の中、美春は必死に首を横に振り少しでも身を捩り男たちの魔の手から逃れようともがく。

 しかし美春の抵抗など男たちは歯牙にもかけないようだ。



「あの女は「美春は処女だ」って言ってたけどマジに処女なのか?」


「俺が一番手にヤリてえ!」


「なんだと! 順番はじゃんけんで決めたろ! 俺が一番だ!」



(こ、こんな男たちが私の初めてなんて……いやあああぁーっ!!)



 無駄だと知りながらも美春は叫ぶ。

 美春が嫌がれば嫌がるほどそれは男たちに伝わり彼らは興奮してきたようだ。



「待て。俺が一番だ」


「ヒデさん……」



 そこに男たちの中で今まで何も話さず少し離れたところにいた男が低い声を出した。

 騒いでいた男たちが一瞬にして静まる。



「ヒデさんなら順番譲ります」


「悪いな」



 最初に美春を犯そうとしていた男が「ヒデ」という男に場所を譲った。

 ヒデは美春の猿ぐつわを外す。



「お前はなかなか俺好みだ。俺の女になって俺を満足させたらお前の願いを聞いてやってもいいぞ。こいつらにも手を出させないと約束してやろう」



(……私の……願い……)



「……いいわ。あなたの女になるから私の願いを叶えてちょうだい。約束よ」






 亜衣子は一週間後に婚約者の隆司と結婚予定だ。

 大学を卒業してから二年が過ぎた頃隆司からプロポーズをされた。


 高校生の時に美春を陥れて亜衣子は隆司と付き合い始めた。

 美春を男たちに襲わせてから美春は高校に一度も来なくなりやがて自主退学したと聞いたが亜衣子の心は痛まない。


 自分が隆司のセフレで我慢していた時に美春は隆司と幸せな時間を過ごしていたのだ。

 それが亜衣子には許せなかったが結局隆司と結婚するのは自分になったのだから亜衣子は上機嫌だった。



「フフ、悪く思わないでね。美春」



 式場で最終の打ち合わせをした後に亜衣子は自宅に向かう。

 しかし亜衣子が自宅への道を歩いていると突然亜衣子の横にワゴン車が横付けされて車から降りてきた男たちに亜衣子は捕まって車に乗せられてしまった。

 手錠と猿ぐつわをされて縄で身体も拘束されて抵抗できない。



(な、なんなの!?)



 訳が分からないまま車でどこかに連れて行かれて車が停車したと思ったら古ぼけた倉庫の中に連れ込まれた。

 そこに敷いてあった絨毯の上に亜衣子は転がされる。


 男たちは亜衣子が逃げないように亜衣子の身体を床に押さえ付けた。

 そこへ女の声が聞こえる。



「久しぶりね。亜衣子。私のこと覚えてる?」



 その女の顔を見て亜衣子は驚愕した。

 髪を染めて化粧をしているから印象はだいぶ違うがその女はかつて自分が陥れた美春だった。



「フフ、そうよ。美春よ。亜衣子は隆司と結婚するんでしょ? でもあの男はやめておきなさい。だって亜衣子に内緒でセフレがいるのよ、ほら」



 美春は数枚の写真を亜衣子に見せる。

 写真は隆司が女とキスしてたりホテルに入るところの写真だ。



「ね? こんな不誠実な男は亜衣子の結婚相手には向いてないわ。だからあの時に亜衣子が私の彼氏にする男たちを選んでくれたように私も亜衣子のためにあなたに相応しい彼氏候補を選んであげたわ。それがこの男たちよ」



 美春はニヤリと笑う。



(な、何を言ってるの? 美春)



 真っ青な顔で美春を見つめる亜衣子に美春は目を細めた。



「亜衣子が「友情の証」で選んでくれた男たちの中からちゃんと私の彼氏を選んだわよ。ヒデさんと言ってね、ある組の幹部の人よ。おかげで私は贅沢な暮らしをさせてもらってるわ。だからそのお礼も兼ねて私からの「友情の証」の男たちから亜衣子も新しい彼氏選んでね。彼氏を選ぶコツは身体の相性の確認よ」



 美春の言葉を亜衣子は呆然と聞いていた。

 すると亜衣子を押さえ付けている男の一人が口を開く。



「亜衣子ちゃん。これが「女の友情」ってもんさ。俺たち亜衣子ちゃんの彼氏になれるように頑張るからさ」



 男たちが乱暴に亜衣子の服を引き千切って裸にしていく様子を見ていた美春はそっと倉庫を出て駐車していた黒い高級車に乗り込む。



「用事は終わったか? 隆司って男の方も始末をつけたぞ」


「ええ。ありがとう、ヒデさん。私の「願い」を聞いてくれて」


「約束は約束だからな。俺は約束は破らねえ男だ」


「フフフ、だからヒデさんを好きになったのよ」



 美春はそう言ってヒデにキスをした。


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女の友情の正体 リラックス夢土 @wakitatomohiro

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