へんなヤツの話

@Gorugon_Matsuyama

へんなヤツの話

「発射アアアアァッ!!!!!!!!!!!!」


咆哮と共に青白いレーザーが天へ昇っていくのがカーテンの隙間から見える。七時の合図だ。


「ふう、おはようございます。」

「声だけで起きれるって言ってるよね?」

「初回で完璧に記憶していますよ。撃ちたいので撃っているだけです。」


コレは俺の家の前に降ってきた美少女を自称する変なアンドロイド。腹の立つことに本当に顔だけは良い。


「本当になんなのお前は」

「しがない容姿端麗居候家政婦美少女アンドロイド家事代行美少女です。」

「うるさい。」

「難しい言葉はわかんなかったですか」

「半分くらい余分だっただろ」

「おっ、正解です。韻踏みボーナスも込みで20ポイント差し上げます」

「何になるんだよそのポイントは」

「十五万ポイントで機械腕を一本取り付けられます」

「要らないし遠すぎる。」

「そんな小粋な爆ウケおもしろジョークはさておき、そういえば今日ゲームやってたら起こすの8時すぎになっちゃったんですよね。てへ。」

「は?」


舌を出してウインクするボケを無視して時計を見ると時刻は8:24。特に予定は無いがふざけるな。


「お前は何ならできるんだよ」

「掌からビームが撃てる、腕と脚が変形してレールガンになる、腹部から最大24発のミサイルを...」

「遠距離攻撃用の兵器は防衛省とかを訪ねてくれ。」

「ここからサビだったのに」

「リズムもクソもなかっただろ今の」

「そもそもお前はなんで七時に起きるんですか?大して早起きする予定とかないじゃないですか。」

「生活リズムってのがあるんだよ、充電つないで四六時中ゲームしてるポンコツと違って。」

「ハッ、人間ってのは可哀想なものですねぇ」

「唯一の取り柄を無くしてやろうか」

「だから言っているでしょう、私の取り柄は途轍もなく美しく、街を歩けば老若にゃ、老な、老若男女だれしもが振り返るほどの顔だけではないと...このように」


変形しレールガンになった両腕を自慢げに見せつける


「間違ってもなんか撃つんじゃないぞ」

「うえ~~~~い」

駆動音とともに、腕から火花が散る。

「お前!!!!本当に!!!!!怖い!!!!!!!!」

「うえ~~~~~~~~~~あっやばっ」


意外にも爆心地は彼女の腹部だった。

日頃より充電器を差しながら駆動していたバッテリーは、レールガンの負荷には耐えられなかったのだ。

そういえば最近ちょっと太っていたような気もする。

今まで感じたことのない眩い爆炎と轟音の中で、短い人生が思い返される。


「これが...走馬灯か...」


思い返せば変な奴ではあったが、アレが来てからの日々はなかなか楽しかった。


「来世では死ぬまで普通で居られますように」


そう祈るとともに、意識は途切れた。




「ちゃんちゃん」

「一言で起きれるって言ってるよね?」

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