第2話 廃棄物処理

「こちらです」

「ここは、解体場?」

「そう、そのさらに裏手です」


 バーニア女史によって俺が連れてこられたのは、冒険者が依頼等で獲得したモンスターを素材へと解体する解体場だった。


 薄汚れた壁にそって、何とも言えない雑多なものが積み上がり、独特の強い臭気が漂っている。


 この建物の表側には、俺も何度も足を運んだものだ。

 解体場には専門の職人たちが詰めていて、冒険者の持ち込んだモンスターを有料で解体してくれる。


 ただ、建物の裏手に来たのは俺も初めてだった。


 ──解体場に来た時に感じていた臭いは、ここが発生源か。ひどく臭いな。


 バーニア女史もハンカチで鼻を押さえている。そのまま、バーニア女史が俺に告げる。


「カラード様に紹介できるのは、こちらの素材解体で出た廃棄物の処理です。つまり、ゴミ処理ですね。残念ながら、これぐらいしかギルドよりご紹介できるものはありません。さすがにこれでしたら──」

「なるほど。わかりました」


 俺は積み上がった素材の余りらしきものや、設置されている焼却炉らしき設備を確認していく。


「処理の方法にルールはありますか?」

「──やるのですか。これがマニュアルです。報酬は出来高制ではなく、日当ですよ。月毎に契約を更新する形となります。ただ、不定期に監査が入り、そこで働きが不十分だったり、処理方法に明らかな違反があれば契約解除の上、罰則がつきます」

「──ふむ」


 俺は手渡されたマニュアルをめくっていく。


「引き受けさせてもらいます」

「はぁ。物好きな方ですね。わかりました、契約を取り交わしますので、一度事務所へ」

「わかりました」


 こうして俺は正式に、冒険者ギルドで廃棄物処理の仕事を始めるのだった。


 ◇◆


「まずは、可燃物と、燃やすのが不可の物を切り分けて分別する、かな」


 ギルドの解体場裏にある焼却炉はそこまで高温になるものではなかった。

 燃料も薪で、しかも当然、薪は使用してよい量に制限がある。


 ゆえに、そこで燃やせるものはかなり限定的だった。

 それ以外の燃やせない物と、燃やした後の灰は、街を出た先にあるギルドの私有地の廃棄物を捨てる場所──マニュアルでは廃棄場となっている──に穴を掘って埋めていくらしい。


 ちなみにその穴堀り、穴埋めも当然、俺の仕事だ。


 ──一通り確認したが、穴に埋めていくものを、いかに減らすかが肝みたいだな。


 燃やさない物の処理は、とにかく大変そうだった。


少し考えるだけでも、廃棄場への運搬、穴堀り、穴埋めと、物量があればあるほど、一人でこなすにはかなりの労力なのは明白だった。


 ──あとは、換金可能な物があったら、換金してもよいのか。で、換金時の受領金の申請の書類のフォーマットは、これか。


 価値のある物は換金しても良いらしい。とはいえ、俺のもとに来るのは、ギルド所属の解体のプロたちが処理したあとの、廃棄物ばかりだ。

 そうそう簡単に換金出来るものは残っていない。


 ──とりあえず、一つ一つ、試していこう。


 俺は決意を新たに、目の前の廃棄物の処理へと取りかかるのだった。

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