第2話 世界が変わる日

「いいよ。手伝いをする。約束したからね」

「ありがとうございます」

 アマテラスの冠と勾玉が光る。手には弓が握られている。

 クロスディも弓を持っていた、背には六枚の翼がある。

「今こそ、世界の改変を!!」

 アマテラスが叫ぶと空から強い光が降ってきた。

「新しきはそのままに、古き力がよみがえる!これより先は、不思議が現実になる。

 人間よ!神よりギフトを授ける!その力を使い、自らを守るが良い!」

 アマテラスとクロスディが矢を放つと、光が雨のように降り注ぎ、何がと説明は出来ないが、何かが、変わった。

 クロスディの髪が、灰色になってしまった。

「髪が…」

「大丈夫だよ。時間がたてば、元に戻るから」

「クロスディ様。ありがとうございます。貴方様がこの世界にいる間は、生活に困らないようにさせて頂きます」

「うん。ありがとう。アマテラス殿もそろそろ帰った方がいい。 

 この世界は、神が下界にいると、あまりよくないのでしょう?」

 クロスディが言うと、女神は頷いた。  

「はい。そうさせて頂きます。お二人とも、健やかにお過ごしください」

 

 二人だけになって、何となくクロスディを家に連れて帰る。

「靴は脱いでな」

「うん…」

 とりあえず、玄関の鍵をかける。

 クロスディをソファに座らせて、紅茶を淹れて出すと、クロスディは嬉しそうに笑って、受け取り、一口飲んだ。

「美味しい…」

「クロスディ、俺、今はつかさという名前なんだけど、どっちで呼びたい?」

「つかさっていうの?」

「うん。俺は、どっちでもいい」

「じゃあ、つかさって呼ぶ」

「…俺と、いてくれるか?」

「…うん…」

 クロスディは、つかさに抱きついて言った。

「つかさは、ぼくと、時の果てまで一緒に、いてくれる?」

「いいよ。ずっと、二人でいよう」

 軽く触れるだけのキスをすると、クロスディの瞳から、涙がこぼれた。


「…ずっと、寂しかった…」


 クロスディは、神だから死ぬことがない。

 ライトニングが消えてから、クロスディは本当に一人だった。

 寂しいのに、ライトニング以外の人では駄目で、クロスディは、つらくても一人でいることを選んだ。


「俺も、会いたかった」

 

 つかさは、クロスディを抱き上げてベッドに寝かせて、キスをした。

「…ん…」

 服の中に手を入れて、肌に触れる。

「…触れていい?」

「…うん…あの、ぼくと契約したら、手に、印が…でちゃうけど、大丈夫?」

「大丈夫だよ。クロスディ、こっちに集中して…」

 背中に手を這わせると、ビクリとした。

「あ…そこ、やだ」

「駄目」

「優しく…して…」

「ん、そうしようかな」

 二人で、笑った。


 次の日。

 世界の仕組みが変わったけど、日本は、何故かいつも通りの日常な感じがした。

 ニュースで、自然に世界の仕組みが変わったと、流れている。

 外を見ても、特に変わった様子もなく、昨日と同じように見える。

 クロスディは、まだ寝ている。

 朝が少し苦手なのは、変わってないようだ。

 

 世界は、少し変わったけど、俺にとってはわりとどうでもよくて、夢でしか会えなかったクロスディと会えたほうが、大切だった。


 


  


 


 

  

      

 

 

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壊れた世界で、もう一度、君と出会う @hamanasu361

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