第5話 中学受験の算数あるある

算数が苦手になるケースには、はっきりしたパターンがある。

学校でやらない内容を、短期間で一気に飲み込まされる。

そして、飲み込めなかった瞬間にアレルギーになる。


「算数わからん……😢」


この状態のまま、受験本番まで行く。

本当に、あるあるだ。


なぜこんなことが起きるかというと、

中学受験の塾は、だいたい一年先取りで進むからだ。


小4で小5の内容とその応用。

小5で小6の内容とその応用。

小6で、それまでの組み合わせの応用。


正直に言うと、


「この“組み合わせの応用”が必要なの、高偏差値帯だけやんけ」


という話になる。


保護者から、だいたい同じ質問をされる。


「じゃあ、どうすればいいんですか?」


答えは決まっている。


「まず、学校の算数を完璧に。

余裕があったら、5年までの塾テキストの応用以外をやる。

まずはそこからです」


「じゃあ、塾の算数はどうするんですか?」

「意味ないんで、他の科目やったほうがいいかも」


一瞬、空気が止まる。


「……無駄なんですかね」

「無駄ですけど。

まあ、わからないのを放置したのも本人なんで、自己責任です。

それより、今できることをやりましょう」


この会話、毎年やっている。


実際にやり遂げた子は、

小6の秋あたりから、算数の成績が上がり始める。


中学受験は、算数で差がつく。

やる子と、やらない子。

結果は、はっきり分かれる。


ちなみに。

私は算数が超得意だった。


なので、算数の授業は部下に任せている。

ええ、得意な人が教えると、キレるんですよね。

これも、あるある。


「なんでできないの?」


これ、現役時代にできた人が言いがちな台詞だ。

そして、これを言うと高確率で嫌われる。


だから私は言わない。

そのために、算数と数学の担当から外れている。


……というわけで。

今日も塾は、だいたい平常運転だ。

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