第3話 古文はなー

古文が嫌いな子は多い。

というか、この分野が将来何の役に立つのかと聞かれると、正直つらい。保守派言論人みたいな言い方しかできなくなる。


でも、そもそも古文ってそんなに難しいか?


「品詞分解、大嫌い」

「あー、それな。せんでいいぞ」


一瞬、間が空く。


「マジ? 学校でいつもやらされるよ」

「お前らの学校、東大受けるやつおらんやろwww」


いつもの流れだ。


「とりま、音読してみ」


「春はあ…けぼ……の」


さっそくとちってる。

枕草子なんて中学の最初でやるのに。


「スラスラ読めるようになったら、なんとかなるぞ」

「まじ?」


黒板に向かって続ける。


「古文はな、

誰が

どこで

何をして

何かが起きて

悲しい。

その悲しさの理由を言えたら高得点だ」


「……まじ?」

「日本語訳、見てみ」


そう言って、日本語訳だけを三つほど読ませる。


「なんか中身、薄くない?」

「そりゃそうだろ。ほとんど日記か物語だし、あの文量だぞ」


少し考えて、うなずく。


「あー、なる。ちょっと頑張って読んでみるわ」

「それだけで偏差値60は超えるぞ」

「え? まじ?」


全員が素直に聞くわけじゃない。

でも、素直な子は本当に伸びる。偏差値70に届いたりもする。


ちなみに。

私、古文担当じゃない。


ひどいオチだ。

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