第2話 国語の指導をする

国語が苦手な子は多い。

でも、うちに来れば大抵なんとかなる。


理由は単純で、私自身が国語ができなかったからだ。

高三まで、超がつくほど苦手だった。今でも胸を張って言える。


だから指導は、過去の自分に向ける。


「いいから書け。なんでもいいから書け」

「記述は大体、丸にしてやるから」


生徒が首をかしげる。


「でも、本番の採点ってそんなに甘くないんじゃ?」

「高偏差値帯はな。でも、それ以下は白紙が多い。

部分点が、実質最高得点だぞ。とりあえず本文をそのまま書け」


少し考えて、うなずく。


「……それなら、書いてくる」


数分後、答案を持って戻ってくる。


「おうおうおう。いいじゃんいいじゃん。正解」

「ほんとに?」

「マジマジ。減点はあるかもだけど、今はこれでいい。

まずは書く習慣。記述に慣れること」


「うぇーい」


こんなに喜んでいる理由は単純だ。

正解すると、お菓子がもらえる。


なんと現金な。

まあ、やらないよりは、ずっとマシだ。

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