おじさんの羽

　日雇いで食いつないでいる冬木昭彦（四十五歳、独身）の背中にある日突然、羽のようなものが生えてきた。

　不安になった昭彦は病院に向かう途中で、ネットの記事をを目にする。
「──女性患者の臀部から、尻尾状の突起物。
　──除去手術失敗。病院側を家族が提訴。
　──違法な臨床試験が原因か」
　昭彦は、家に引き返し、会社を辞めて引きこもった。
　
　自然に消えてなくなることを祈り、待ったが、羽は徐々にに大きくなり、やがて自分の腕よりも長くなった。
　そして、自分の意思で動かせることに気付き、空を飛ぶことを決意するが……