第7話:初めての食事
建物の周りを囲っている柵。
牧場とか乗馬クラブとかにありそうなシンプルな木製の柵が建物から6mほど離れた所にあった。
柵に近づき触ってみる。何の変哲も無い普通の柵である。
これがスキルポイントを3使った結果なのか?これならユニットバスにした方が良かった?貴重かもしれないスキルポイントを無駄使いしてしまった?
これが柵に対する感想である。もっと慎重に選ぶべきだった。スキルポイント振り直しできないか?
『スキルポイントを振り直す事はできません』
あの声で回答が返ってきた。勝手に人の心を読まないで欲しいな。
もう過ぎた事は仕方ない。今やるべき事をやろう。
そう気持ちを切り替えて、残っている確認・対処しないといけない事に取り掛かる。
残っているのは、
③この倒したゴブリンをどうしようか。
④食べ物はどうしようか。
の2つである。
このドアのそばで死んでいるゴブリンである。
休日に読んでいたラノベだとゴブリンって食べられるんだよな。とても不味いけど。それと同じだったら、このゴブリンも食べられるのではないか?不味そうだけど。
でも不味かったとしても、朝におつまみを食べただけで空腹である。食べずに死ぬなら、食べて死にたい。その思いに勝てず、ゴブリンのナイフを手にして、ゴブリンに近づく。
ゴブリンの肉でどこが美味しいのか。もちろんそんな事は知らない。
ただ、牛・豚・鶏だと、鶏はもも肉が美味しいよな。牛・豚の場合はバラ肉というのがどこにあたるんだろうか分からないが、脂身が多い事から考えるとお腹のあたりだろうか。鶏の場合、胸とももの間に部位あるのか?あの大きさだと、胸肉の下はもも肉だったりするのか?
そんな事を考えつつ、ゴブリンのお腹を切り始める。
料理は苦手ではない。面倒なだけで、包丁も問題なく使える。魚を卸した事もある。
ただ、魚以外の動物の解体は初めてだ。いや、理科の授業でカエルの解剖をした事はあるか。全然覚えてないけど。
適当に切っていく。表面の革は食べたくないから革は切り離す。中の肉だけにして、一口大に切ってみる。色合いは思ったより普通の豚肉のようだ。硬さも普通だ。まだ死後硬直は始まってないという事か。
生は絶対によくないので、森で小枝を集めて、持っていたライターで火を付ける。キャンプ経験が無いから手間取ったが、なんとか火の準備はできた。
水で軽く洗ってから、一番小さい肉を焼いて口へと運ぶ。
…不味い。
思った通りだが不味かった。まず旨味が感じられない。これは何か調味料で味付けしないとダメだ。だが、旨味が無い以上に、この何とも言えないエグみが…食べないと死ぬのなら食べるが、進んで食べたいものではない。一流の料理人であっても、美味しい料理にする事はできないのではないか。
そんな印象を持つほどのゴブリンの肉。空腹であるため仕方なく切り進める。ある程度の量になった所で、焼いて口へと運ぶ。
それを繰り返す事10分ほど。
満腹ではないが、空腹感が無くなる程度にはゴブリンの肉を食した。
ただ、目の前にはゴブリンの死体が腹部以外はそのままの状態で横たわっている。
体長1.5mほどのゴブリン。体重はおそらく40kgくらいあるのではないだろうか。その死体から肉を食べても100gほど。一体これを全て食べ終わるまでにどれだけ時間がかかるだろうか。その前に腐ってしまうのではないか。というかこれだけをずっと食べ続けるなんて嫌だ…
ピィーピィー
その時、どこか遠くから鳴き声が聞こえた。高い鳴き声。生で聞いた事は無いが、鳶とか鷹とかの鳴き声がこんな感じだったな。
すると、ゴブリンの死体を影が覆った。上を向くと。
そこには、巨大な鳥が翼を広げてこちらへ急降下してきていた。
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ランク:1
レベル:1
取得スキル:迎撃機能3
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