第3話:声
『ホームに戻りますか?』
小屋を出てから初めて聞こえてきた人の声。女性の声だ。
誰か近くにいる?助かった!
そう思い周りを見渡したが誰もいない。見えるのは木だらけ。一体どこから声がしたんだ?
それよりホームに戻りますか?ってどういう事だ?ホーム?
家に戻りたいよ、というか帰りたいよ。
『ホームに戻る場合はYesを選択してください』
また声が聞こえてきた。Yes?選択?どういう事?本当に分からない事が増えすぎるな、今日は。
そう思っているとふと視界の右端にYes・Noの文字が。
えっ、と思い右側を向くがそこには何もない。いや、木は(以下略
右を向いてもYes・Noの文字は右端にある。
文字が動いている?と思い、更に右を向いたが変わらず右端にある。
ならば、と思い左を向いたが変わらず右端にある。
動いているのではなく、常に右端にあり続けている?
そこで、触れそうな気はしないが、Yesの文字がある辺りを触ってみる。
すると、
『ホームに戻ります。よろしいですか?』
また声が聞こえた。間違いない。間違いないが、なんだこれ!?
Yesを触ってホームとやらに戻って良いのか?
というか、VRゲームみたいだな。ゲームか。こういうゲームやりたいと思ってたな。
おっと、脇道にそれた。とりあえず、何が起こるか分からないけどこのままだと家にも小屋にも帰れない。どうなるか分からないが、悪い事は起きないように感じる。声の主であろう女性の声が心地よいからか?どこかで聞いた事がある気がする声なんだよなー。
ともかく、意を決してYesを触ってみる。
するとあの時のように、目の前が光に包まれた。
何が起きるんだろうか。これはゲームなのか。それにしても眩しいな。
二度目の光はそんな落ち着きの中で過ぎていった。
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