美神くだりて伴侶をめとる

掬月

美神くだりて伴侶をめとる

月が本来の位置に戻る来年、その年の私の誕生日に、美神様への贄となるよう大司教様に命じられ、はて、誰かが贄になるなら私が贄になってもよいが、贄とはつまり伴侶のことのはず、妻か妾か玩具になれということであろうに、私は確かに目鼻立ちは褒められるけれども軽くデブ風味の田舎娘だし、動きにくい服が嫌いなら、面倒くさい化粧も嫌い、うぶ毛を剃るのも面倒くさい奴だし、私より綺麗な人だったらいくらでもいるはずなのに、なんで私が選ばれたのだろうかとは思ったけれど、十七にもなってまだ一度も恋などしたことがない私だから選ばれたのだろうか、神様のお考えはやはり分からないな、などと思いつつ、充分な時間をかけて家族や友人知人に別れをつげ、やがて時が満ちて私が十八となるその夜に、家族とそれを祝い別れを告げて、流石に鼻の下のヒゲっぽいうぶ毛だけは剃って、リネンの白い綺麗で邪魔な服を嫌々着て眠った夜の真夜中に、気配を感じて目が覚めたら部屋のランプがついていて、たぶんイケメンっぽいお兄さんが私の枕元にいてこう言った。


「ティファレトと申します。ご存じのとおり美神を務めております。私は貴女をたいへん尊敬しています。ですから私は貴女のところへ来ました。事前にお伝えしてあると思いますが、私のことが気に入ったら共に神の国へ行き私の伴侶になってください」


神様のことなど何も知らなかったけれど、やはり何もかもが私の想像などおよばないことだけよく分かった。神様が人間の私を尊敬? つかむっちゃ私に敬語だし。わざわざこっちへ来るだなんて。お使い的な誰かが来ると思っていたのに。


私がそう思ったらティファレト様は微笑んでくれたけど、無言だった。


私の言葉を、私の意思の表現を待っている気がした。


「神様が人間の私を尊敬してくださっているのですか」


「はい。山川草木、花鳥風月、貴女が知っているありとあらゆるものに、貴女が知らないありとあらゆるものに、敬意を抱いています」


その言葉を聞いたとたん、何もかもが私の心にストンと落ちた気がした。


私も、知った限りのありとあらゆるものを尊敬しているから、とても共感できた。


「なんだか……それを聞いたらよく分かった気がいたします」


「そういう貴女だから好きです」


好きと言われたことは何度かあったが、こんなに仰天したのは初めてだった。そう言ったティファレト様のお顔があまりにも嬉しそうだったからだ。


私はもはや言葉も出ず呆然としてしまった。


「驚かせて済みません。でももっと驚かせます。貴女は心だけが美しいのではありません。肉体も魂も美しいのです。あなたが分かっていないだけなのです」


いやいやいや。もうそれウソでしょ。


「それは美神様の本心なのですか」


「本心です。まず、貴女の肉体はちゃんと野太い筋肉があって、しっかり贅肉もあります。貴女のお姉様たちのように華奢くか細いかたたちとは違います。栄養に恵まれて適切な量の運動をしています。貴女ほどの健康体は珍しいのです。地上にいれば貴女はずいぶん長生きできますし、四十までに二年ごとに子供を十人産んでも健康でいられるでしょう」


「ええっ! そんなに産まなきゃいけないんですか?」


「いえいえ、嫌であれば『交渉』そのものが不要です。十人というのは、貴女を讃えるための、健康の指標でした」


うーん。言われてみれば、私は田舎の貴族の三女。山猿みたいに木登りが好きだし、領民のみんなとの農作業が楽しいからやりたいだけ農作業を楽しんで、でも疲れすぎて体を悪くするようなことはなかったし、そのあとのご飯は格別美味しいからバクバク食べて栄養は充分摂ってきた。二人の姉は王都の貴族の目に止まるよう華奢でか弱いよう心がけていたし、運動はしないし食も細いし、ちゃんとそこそこいいとこに嫁いでいった。一方、ティファレト様に選ばれるまでは私の両親は私のもらい手は領内の地主あたりでいいんじゃないかと明るく笑っていたし、私も大まか同じ意見だったのだけど……。


「神様はこういう肉体がお好みなのですね」


「私は、です。神にも好みはありますし、価値観もみな違います。私は、華奢でか細い肉体が美しいという価値観はか弱く反抗する力に乏しい存在が美しいという価値観だと思っています。それなら幼児や乳児のほうがよっぽど美しいということになります。華奢でか細く弱いの究極形ですから。それは確かにとても美しいのですよ。保護するに値するのですよ。でも私が伴侶として愛したいと思うのは自分のことは自分で守れるくらいの立派な大人の女性です」


そう言われてなんか思い出した。


「私が十六の夜に、村へ散歩に出かけて暴漢に襲われかけて、異国生まれの師に習った功夫でボコり倒して撃退したこととか……」


「存じておりますよ。ずいぶん喧嘩に慣れていらっしゃる」


「喧嘩っ早いせいで、残っている傷も多々あるのですが」


「肉体の傷が醜いとは思いません。それはむしろ世界とぶつかってきたことの証明です。そもそも私は貴女の全ての傷を一瞬で癒やせますが……望みますか?」


私は私の人生が尊いと思うし、私も私の傷が醜いとは思わない。


「いいえ、望みません」


そう言った自分が少しドヤ顔になってしまった気がするがまぁいいや。


「貴女と会話をしているだけで心地よくなります。ここに来てよかったし、ぜひ共に神の国に来ていただきたいです」


よく分かんないけど、ここは博打を打つのが楽しい気がする。なにがどうなってもいいし、根拠も確信もないけど、めっちゃ後悔することになってもいいから、面白そうなことだからぜひやってみたい。


「ぜひよろしくお願いいたします。そもそも拒否権などないと思っていました」


「そういう理由では困ります」


ちゃんとした責任を要求されている。


「ティファレト様がどういうかたかはよく分かりませんし、神の国がどういうところかも分かりませんが、ただ……面白そうだと思ってしまったのです。いまここで博打を打ってしまうのが」


ティファレト様は大声でゲラゲラ笑い出した。


「あはははは! いやまぁ! 本当に! あはは! 豪傑だなぁ貴女は! そういうところが大好きなんです。でもいいんですかそれで?」


「ご不満でもおありでしょうか?」


「いいえ、いかなる理由でもあなたが望んで神の国へ来てくださるのなら大歓迎です……貴女の手に触れてもよいでしょうか?」


その時、誰かが私の寝室へ入ってきた。


「おおファリエ……そのお方はもしかして?」


「お父様、ロード・ハイランタル様、私は、ファリエ・アプリコットは、自らの意思で神の国へ参じます。決して贄ではありません。でもそのことは恐らく……」


私はそう言ってティファレト様をチラ見した。


「お義父様、美神ティファレトにございます。ぜひ贄の件については贄と他の者には押しとおしていただきたく……」


父が昏倒した、と思ったが、ふわっと体が浮いて私のベッドに横たわった。


「神に敬語を使われたら予想外すぎて昏倒もします。貴女としゃべっていたので普通の人間の気持ちを失念しておりました。申し訳ない」


自分が変わり者なのはよく知っている。


「父が怪我をしないようにしてくださってありがとうございます」


私はそう言って右手をティファレト様にさしだした。


ティファレト様は私の右手を両手で優しく包んでくれた。温かい。人と同じ温もりだ。


「では行きましょう、神の国へ。目をつぶっていただけますか」


言われたとおり目をつぶるといつものように赤黒い闇が見えたが、ふとその赤が明るくなった。


「目をお開けください。ここが神の国の私の住まいです」


目を開けると私は丘の上にいて、青い空と白い雲の下に地平線まで続く小麦畑が見えた。ライ麦もかなりまじっている。


「まあ! ……私の故郷と似ていますわ」


「ええ、似せて作りましたから」


背後のティファレト様を見ると中肉中背でいい感じのイケメンさんだ。髪の毛も目も金色で、露出している肌は小麦色に焼けている。っていうかさっきと服が違う。農夫みたいな服と麦わら帽子だ。


ティファレト様の背後には小さな石造りの家がツタにおおわれていて、その背後には屋敷林が生えている。


「ここがティファレト様のお住まいですか?」


「そうです。が……そうでないとも言えます」


どゆこと?


「私の本体はこことは全く違う次元に存在しており、無数の私を統括しています。その姿は輝き、その美は貴女の魂を焼き尽くしてしまいます。私は千であり万であり、その数は必要性に依存します。この私は受肉してここに住み無数の私と常に連絡しています」


「たくさんいらっしゃるティファレト様のうちのお一人が貴方ということなのでしょうか」


「そうです。私がいままで『贄』としてちょうだいした人間の皆様はそういう私と過ごしています」


私は少しほっとした。


「ほかの神様への『贄』も同じような感じなのですね」


「いいえ、知りません」


えー!


「神と神は相互不干渉が原則です。そもそも知ろうと思いません。知ろうとするのはマナー違反です」


私はため息をついた。


「神様たちのことは人間には何も伝わっていませんね」


「多くの人間は神に支配されているという恐怖がなくなると増長し社会に悪影響を及ぼします。それはそれで面白いし、そういう風にしている世界もあるのですが、貴女がいたところは違います。貴女がいた世界は神が人類を支配しているし『贄』は恐怖を作り出し人類を健全に保つための小細工の一つです。でも私は……」


そう言ってティファレト様は私を見つめた。私もティファレト様を見つめ返した。


「『贄』という名目で美しい人間をかっさらって愛でるためのありがたい名分だと思っています」


「そういう身も蓋もない物言いが私に心地いいこともご存じなのですね」


「真実こそが美しい。なぜならば真実は生きるための大前提だからです。真実を濃縮したうたも美しい。それは真実を分かりやすく教えてくれるからです。だが不必要な虚飾は醜い。それは真実を覆い隠すからです」


「私もそう思います。ですから動きにくい服も、化粧も大嫌いです。でも、人間の多くはそう思いません……不都合な真実を抱えていらっしゃるかたはなおさらその傾向が強いです」


「貴女のそばには真実を愛しているかたはいなかった。貴女はとても真実を愛していたのに」


私は今まで得られなかった心の友を得たような気がした。神にそんな思いを抱くのは地獄に落とされても文句は言えないが、私は強くそう思った。


「はい。まぁでも……そういうものだと思っておりました。そしてここへ来てティファレト様とお話をして、初めて本音で話ができるかたにお会いできた気分です」


「地上では寂しくはありませんでしたか?」


「いえそれが……そういうのを楽しんでいました。孤独はとても真実に満ちていたので。というか、生きている間は真の孤独なんてないと思います。仮に人間がいなくても大地や空がいてくれますし」


ティファレト様は微笑んだあと空を見た。


「蒼穹にただよう白い雲。もちろん雨も嵐もあります。ここで貴女は何をしてもいいし何をしなくても構いません。貴女の能力の範囲内で何もかもご自由になってください」


「ティファレト様は何をお望みですか?」


「貴女と対等な相互干渉をしあいながら貴女という芸術と暮らすことです」


私は実りきった小麦畑を見てうずうずしてきた。


「ティファレト様、小麦粉はありますか? 窯があればお借りしてパンを焼きたいのですが」


「私の本体は食べるということができませんが、この私は受肉しておりパンが大好きです。窯はありますよ。お借りしないでください。貴女と私の共有財産です。使ってください」


畑を見て収穫、乾燥、脱穀……を連想したが、やはり小麦粉が用意されていた。それだけではない。ライ麦粉まで用意されていた。見てみるとたぶん精白していない全粒粉だ。


「小麦もライ麦も全粒粉なんですね」


「お気に召さなければ精白いたします」


「いえ、全粒粉のほうが栄養がありますし味もいいですよ。そのかわりパンはガチガチに固くなりますけど」


「貴女は固いパンがお嫌いですか?」


「いえ、スープにつけて食べればふやけますし美味しいです」


「これがこの家のパン切り包丁です」


そう言ってティファレト様が持っているものはまるでノコギリだ。こんなパン切り包丁は初めて見るけれど合理的だ。


「うわー。それなら固いパンも簡単に切れそうです」


ティファレト様は微笑んだ。


「私が私に課している仕事は、色々な世界の美しいものと他の世界の美しいものを出会わせて、今までにない新たな美しい景色を作ることなんです。しかしそこに作意を入れないことが難しくて……」


「ティファレト様にとって『美しい』ってどういうことですか?」


「ええと……生きるための力が強かったり、道具としての機能が優れていて、それに必要なための姿をしていることが美しいと思います……とある異世界では『用の美』と言います」


「ええと……例えばお洒落っぽいけど使いにくい水差しとかはアウトってことですか?」


「全くそのとおりです。それは虚飾に満ちていて機能性が欠けています」


「無骨だけど使いやすい水差しと、お洒落で使いやすい水差しはどちらがお好きですか?」


「どちらも素敵です。両方があって気分にあわせて好きなほうを選べるのが一番よいです」


「実用性とは無縁な絵や彫刻はお嫌いですか?」


ティファレト様は微笑んだ。

「実用性というか、絵にも彫刻にも機能性はあります。意図的に作成されるあらゆる芸術に共通している機能です。それは作成者の心の中の何かを作品にこめて観測者に伝えることです」

ティファレト様の目が光った気がする。

「ただし、伝わるのは観測者の中に既にあるものだけです。共感があったものだけです。観測者の中にないものは伝わりません。心が貧しい観測者には何も伝わりません」

ティファレト様の瞳が優しく戻った。

「とはいえ、そのように『極論的』に心が貧しい方は現実にはいませんし、仮にいたとしても、ありのままに尊敬し愛でるべき存在です」

ティファレト様はため息をついた。

「最も悩ましいのは、作成者が込めたものとは別のものが観測者に伝わるときもある、ということです。誤解があり得るのが芸術です」

ティファレト様はパン切り包丁の柄の木を優しく撫でた。

「作成されたものに限らず、優れた芸術は多くの観測者に共通しているけれどもなかなかみんなが気づかない、心の中に眠っていることを伝え、掘り起こしてくれます。気づかせてくれます」

ティファレト様はパン切り包丁を音もなくテーブルに置いた。

「ある意味、芸術は形状が定まった時点では完成していません。それを見た観測者が何かに共感し何かを心に宿して初めて完成しますし、真に優れた芸術は観測者の一生に渡って気づきを与えます。存在し観測されるかぎり誰かに影響を与えるのですから完成はありません。時代が進めば解釈も変わります」


一方的に喋られて、私は少し頭が痛くなってきた。


「よく分からないのですが、作成されたのではない芸術があるのですね」


ティファレト様は微笑んだ。


「自ら生まれ、自ら育ち、自らを形成する芸術もあります。というか、本質的にはありとあらゆるものがそのような芸術に帰します。絵はそれを描いた芸術家の一部であり、その芸術家は生物の一員であり、生物は自然界の一部であり、自然界は世界の一部であり、世界は絶対神の一部です。そして絶対神とは情報量が無限大の乱数、真の混沌、絶対無限です。全ては絶対神から自然に生ずる芸術です」


私は理解するのを諦めた。


「ティファレト様、私にはちょっとそれは分かりかねます。ちょっと疲れたのでパンの前に二人でお茶を飲んで休憩いたしませんか?」


「すみません。調子に乗ってしゃべりすぎました。貴女がお疲れならば私がお茶を淹れます。さあ、私たちの家の中へ……」


神様が人間にお茶を淹れたいというのが天上界すぎて理解不能だけど、こういうのに慣れないとやっていけないのだろう。が……


「一緒に家の中には入りますが、お茶の淹れかたはお教えください。茶葉やポット、ケトル、そのほかの諸々について。きっとご面倒でしょうが、私が淹れたいんです」


甘えたらだめだと私の本能が警告している。恐らくふだんの私をつらぬかないと私は不要になる。そして何より元より私はふだんの私でありたい。相手が神様でもいくら優しくてもふだんの私がいい。


そう思ったらティファレト様は困った顔になって頭をかいた。


「いやぁ……甘えてくださっていいのですよ。心を読まなくても何でも顔に書いてあるお人だ。分かりやすい。険しい顔も美しいですよ。さあ、ご希望ならお茶の淹れかたをお教えします」


何を考えているかは顔を見れば分かる、とは子供の頃から言われ続けているなぁ……


「申し訳ありませんが、初めて使う水、初めて使う茶葉では、美味しいお茶は淹れられないと思います」


「申し訳ありませんが、まずいお茶が日に日に美味しくなっていくのを楽しませてもらいます。貴女という贄をそういう風に楽しませてもらいます」


とはいえ、くんだ井戸水は軟らかかったし、かじった茶葉は私好みだったし、茶と熱い湯を入れたティーポットはよい香りをただよわせた。


心の中で二百秒を数えてから漉して注いだお茶は美味しくて、二人で素直に茶を褒めたたえあった。


私はとても心おだやかでくつろいだ気持ちになった。私は誰かと素敵なものを褒めたたえあうのがとても好きだからだ。


この住居は故郷の領民の家としても小さなものだけど、茶葉は恐らく私が飲んでいたものよりよいものだ。二人きりで暮らすには手入れが楽な大きさの住居で贅沢できそうだ。


お茶を終えて、二人で家の周りを散策した。


「人影が見えませんね」


「この世界には貴女と私の二人きりです」


「そんな気がしていました……私はここで年老いて……ティファレト様はそのあとどうなさるのですか?」


「貴女がいなくなったあとは、この世界もこの私の肉も不要となります。貴女が年老いるか否かは選んでいただきます。それと……我らの子が欲しいか否かも。すぐにではありません。おいおいこの世界に慣れながら決めてください」


老いないかもしれない。子を作るかもしれない。そういうことについて前々から思っていたことをぶつけたいと思った。


「前々から、自分の子がいてもいなくても、自分が年老いて死ぬという最終的な結論にはいささかの関わりがないし、死んだあとのことは何も分からないと思っていました。魂というものがあったとしても、それが永遠のものかどうかなんて分からないと思っていました」


ティファレト様は夢見るような顔になった。


「それは私の本体においても全く変わらない問題です。神にも見えない未来はあり、不安もあり、それを打開するための戦いもあります。その戦いに勝ち続ける保証など全くありません。むしろ最終的な敗北がほぼ見えています。でも戦い続けています。戦うことが楽しく美しいと思うからです。そして癒やしの時間も必要なのです。戦うための自分を整えるための癒やしが」


その顔が私をいつくしんでいるのだとようやく気づいた。


「ファリエさん、もう私はだいぶ貴女に癒やしていただいていますよ」


初めて名前を呼ばれた。私は本当に神の対等な伴侶となるのか。


「ティファレト様、それは私も同じです。貴方にとても癒やされています」


ティファレト様が私の肩をなでてくださったので、私もティファレト様の肩をなでたら、ふわっと軽く抱きしめられた。


これが私の最初で最後の恋なのだろうか。いつもより強く早い自分の心臓の鼓動を感じながら、うっとりした気持ちで私はティファレト様を軽めに抱きしめた。


(終)

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