第4話 補充係のお仕事

 そこからは慌ただしかった。

 アイテムを鑑定機にかけて、装備は強さに応じて仕分け。金目の物は価格帯別に木箱に放り込んでいく。


 俺は精巧な作りの大剣を手に取る。炎が波打つような金縁の刀身。大きいのに不思議と手に馴染み、軽い力で振ることができそうだ。

 

 その大剣を鑑定機に掛けて、表示された攻撃力と想定取引金額を見た俺は目を丸くした。


「攻撃力高っ! 野口さーん、なんかめちゃくちゃ高級品っぽいやつありました~」


 野口さんが仕分けを中断して来てくれた。

 

「どれ。あー……こりゃさすがに上層フロア行きだな」

「これも上で宝箱に入れるんですか?」

「いや、そのままは入れねぇ。強力な装備にはメイジなんとかって魔物が呪いを付与したり、ものすごく重くしたりする」

「へぇー。そんなことできるんだ」


 強い装備や高額の品物は上のフロアの物品庫へ。エレベーターなど無いので、巡回係の魔物に声を掛けて運んでもらう。

 

 ちなみに一般的に冒険者がエンカウントするのはこの巡回係の魔物だ。こいつら、ただうろうろしてたんじゃなくてパトロールしてたんだなあ。知らなかった。


 俺は巡回係――小型のドラゴンらしき魔物に声を掛ける。体長2mくらいかな。

  

「遠くてすみませんが、これは29階の物品庫でお願いします」

「ガハハ。構わねえよ。俺たちの大事な魔王様のためだからなあ」


 巡回係の魔物は口の端に火をチラチラ吹きながらそう言うと、木箱をひょいと背に載せて力強く羽ばたいた。風がブワッと吹き付けたかと思うと、次の瞬間には魔物は大きな窓の外に飛び立っていた。

 

 俺は思わず窓に駆け寄り外を見上げる。おおー! 本当に飛んでる。すげー。


 仕分けが済んだら各フロアの空き宝箱にアイテムを補充していく。途中間違えて俺がミミックの宝箱を開けてしまい、なんかすごい嫌な顔された。ミミックに。


「おい、新入り。何度も間違えると噛まれるぞ。ちゃんとマップを見て場所を覚えろ」

「すみません……」


 6階の一通りの宝箱を補充し終わると、今日は業務終了となった。

 なんかすごい疲れた……

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