第3話 日常~3~

「てか、『鏡』ってどこにあるんだ?」


「毎度変わってるって聞いた事はあるけれど……流石に女子トイレとか男子トイレには無いと思うわ」


「さっき雪美が『たぶんあそこだと思う』みたいな事言ってなかったけ?」


「あっうん。そうなの。心当たりがあるから付いてきてほしい」


「そんで、鏡は手鏡くらいの大きさでよく見ると色褪せてるんだよな」


「歴史を感じるよね。色褪せてると」


「じゅり……。別に色褪せてるからって歴史が長いとも限らないと思うけどな」


「え?そうなの?」


「だって建造物とかはその上から塗装をし直せば元あった色になるだろ。それに、紙とかだと紫外線やそれ以外の……例えば湿気や害虫なんかで簡単に色褪せたり劣化したりするからな」


「あっ、そっかぁ」


「勿論、歴史が長いから色褪せるってのもあるだろうけど、保管方法をしっかりしていれば物によっては新品同然の綺麗さが保てたりするよな」


「何か全然歴史感じないねぇ」


「人によっては新品同然の綺麗さを残したい人も居るだろうし、使っていればどんどん汚くなってたり色褪せてきたりするけどそれが良いって人も居るだろうしその辺は個人の価値観によると思うぞ。歴史が全てって訳じゃないし」


「うーん……そうだね。僕は色褪せてたり煤で汚れてたりするやつは結構好きかも」


「まぁ、反応の仕方を見てれば分かるけどさ。てことはレトロな感じとか好むタイプか?」


「レトロ?うん!ああいうの凄い好き!」


「やっぱりそうだよな。なるほどな……」


「ん?あれ?この2人ってそういうあれ?なのかしら。否定はしないけれど」


「え?れいちゃん。流石に敏感になりすぎだよー。周りがカップルだらけだからって何でもかんでも恋愛に絡めない方が……」


「まぁ一応な。」


「ん?………………えー!!!!!」


「声でかいぞ」


「あっごめんね。でも、まさかじゅりと海人が付き合ってる事は知らなかった……」


「私もよ。どことなく雰囲気が友達って感じはしなかったし、でも会話の内容的に今までとは何ら変わっていないから正直分からなかったわ。何故言ってくれなかったのかしら」


「言う必要が無かったていうのと、気恥ずかしいからって感じか?」


「うん。まぁそんな感じだよねぇ」


「あんたさっきから、じゅりに対して好きって言わせたかったんじゃ無いの?」


「急にどうした!?ってまぁ半分はそうだな。半分はまた別」


「もしかしてれいちゃん妬いてる?」


「そんな事無いわよ。あっ、雪美。もしかしてあれじゃ無いかしら」


「おっマジであった」


「これが、噂の鏡かー。何でここにあるって知ってたの?」


「ふっふっふー。私は凄いのだ!崇めたまえ、私は神だー!」


「……やめなさい。みっとも無いわ」


「私だってこう言う事したいー。お嬢様だって普通の高校生なのに!!」


「やっぱ自分の事お嬢様って自覚してんのか」


「……うん。だって他の女の子達とはやっぱり違うなって思ってたし。それに陰でも『あの子は社長令嬢だからノリが悪いし金持ちぶってて嫌い』って言葉とか聞いちゃってるし……」


「陰口って今時どこの時代のやつだよ」


「大丈夫だよ。僕らが居るし何ならとっちめても良いんだよ!」


「暴力違反だよ。だけど、その気持ちはとっても嬉しいな。ありがとう」


「雪美の件は後でみっちりと聞き出すとして……それよりも、ここに来る間をふと思い出したのだけれど、人が居なすぎると思わない?」


「確かに。放課後ではあるけど、いつも部活動の生徒が残ってるからこんなに人を見ないのは初めてかも」


「どういう事だ?今日は全部活が休みなのか?」


「テスト前じゃ無いのだから、それは無いはずよ」


「うん!さっきも、夏代なつよちゃんから部活があるとか何とか聞いたから部活はあるよ!」


「にしても、すれ違った人なんて片手で数えられる位だったぞ」


「これも『鏡』せい?」


「でしょうね」「だろうな」「多分ね」


「僕以外でハモらないで!!」


「とにかく入ってみましょう。じゃなきゃ何も始まらないわ」


「入るには『鏡』に触れれば良いんだろ?」


「一応、全員で離れないように手を繋ぎながら『鏡』に触れよ!」


「そうだな」


「うん!分かった!」


「じゃあ行くわよ」


「「「「せーの」」」」

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異世界へ導かれた私たち 月崎華恋 @tsukisakikaren_

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