第4話 籠球(ろうきゅう)戦国伝:秋月ジャパン・流転のダンク
戦国バスケのコートは、九州の荒波に揉まれる秋月ジャパンの参戦により、さらに混沌の度を増していく。秋月種実率いるこのチームは、滅亡と再興を繰り返した「不屈の雑草魂」を武器に、伊勢・北条の「不死身」に挑む。
1. 「
秋月ジャパンの主将・秋月種実(主君・毛利隆元→大友宗麟→島津義久)は、かつて秀吉に献上した天下三肩衝の一つ「楢柴肩衝」を模した、黄金に輝くボールを抱えてコートに現れた。
「大内、大友、毛利……我らは強大なスポンサー(主家)を渡り歩き、この技術(スキル)を磨いてきた。滅びの淵から蘇る、秋月の執念を見せてやる!」
2. 戦術:ハイリスク・ハイターンの「同盟チェンジ」
秋月ジャパンの最大の特徴は、試合中に目まぐるしく変わるフォーメーション(同盟)にある。
序盤は毛利水軍の「アウトサイド・シュート」を模倣し、中盤には島津氏直伝の「釣り野伏せディフェンス」にスイッチ。相手をゴール下へ誘い込み、一気に囲い込んでボールを奪う。
ベンチでは、かつて討ち死にした父・文種と兄・晴種の遺影が、「捨て旗の計」を超えた精神的支柱として、選手たちにクアドルプルダブルを強いる圧を放っていた。
3.
1587年、コートに突如として豊臣秀吉率いる20万人の応援団「大阪オールスターズ」が乱入。
「種実よ、その黄金のボールを寄越せば、命だけは助けてやろう。ただし、コート(筑前)からは追放だ!」
圧倒的な物量作戦を前に、秋月ジャパンは「本領安堵」の夢を断たれる。しかし、種実は絶望しなかった。彼は黄金のボールを高く掲げ、日向高鍋のコートへと向かう超長距離アウトレットパスを自ら放った。
※高鍋藩は、日向国に存在した藩。現在の宮崎県児湯郡の東部(高鍋町、川南町、木城町、都農町、日向市の美々津)と串間市、宮崎市(瓜生野・倉岡の一部)、国富町(木脇)を領有していた。藩庁は高鍋城(宮崎県児湯郡高鍋町)。高鍋の地は初期には財部といったため
秋月氏はもともと筑前国秋月を領していたが、豊臣秀吉の九州征伐のとき、時の当主・秋月種実が島津氏に与して抵抗し、のちに秀吉に恭順した。これにより日向国串間3万石に移封された。種実は最盛期に30万石以上の領地を支配していたため大幅な減石といえる。
慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いのとき、秋月種長は西軍に与して大垣城を守備していたが、9月15日の関ヶ原本戦で西軍が壊滅すると、いち早く東軍に寝返って大垣城にあった西軍の諸将を殺害して開城したため、所領を安堵された。その後、慶長9年(1604年)に居城を財部城(高鍋城)に移し、正確にはこの時点より高鍋藩が成立したと言える。
4.
その様子をベンチ裏で見ていた鍛冶師・杉坊明算が、種実の背中に声をかける。
「日向の地は暑かろう。通気性を極限まで高めた『高鍋式当世具足ユニフォーム』を打っておいたぞ。不屈の男には、それ相応の鎧が必要じゃ」
種実は、北条早雲の「不死身のユニフォーム」に対抗すべく、日向の炎天でもバテない軽量のローコスト具足を纏い、再びティップオフのラインに立った。
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