第3話 ​不死身の早雲と北の野望

 1. 不死身のユニフォームと堺の技

​ コート中央、北条早雲が纏うのは、堺の伝説的鍛冶師・杉坊明算が「当世具足」の技術を転用して織り上げた、防弾・速乾・永久不滅の「不死身のユニフォーム」であった。

「早雲様、ほつれは許しませぬ。この糸一本に、堺の誇りが宿っております」

 杉坊はベンチ裏で、火花を散らしながらユニフォームの微調整を続ける。その強靭な生地は、敵の激しい接触(ファウル)をことごとく無効化した。

 2. 津軽為信の「伝えの城」戦術

​ 対する津軽ワッツの監督、津軽為信は冷徹に采配を振るう。

「城を築くのに金はかけぬ。必要なのは、情報の伝達だ」

 為信が提唱する**「伝えの城」は、選手全員がテレパシーに近い速度でアイコンタクトを取り、瞬時に強固なゾーンを形成するローコスト・ハイリターン**な守備陣形。

 奥州の名門・留守氏が、かつての恨みをパワーに変え、ゴール下で当世具足を鳴らしながら、早雲の侵入を阻む。

 3. 海と陸の乱入:村上水軍と群馬クレインサンダース

​ 試合がシーソーゲームの様相を呈した頃、会場に法螺貝の音が響く。

 村上水軍が「潮流を読み取れ!」と叫びながら、変幻自在のパス回しを伝授。

 さらに、現代の刺客群馬クレインサンダースの選手が、音速のドライブでクアドルプルダブル(得点・リバウンド・アシスト・盗球の4部門2桁)を達成し、歴史の秩序をかき乱す。

 4. 決着のアウトレットパス

​ 早雲は、杉坊が鍛え直したユニフォームの襟を正し、静かに跳躍した。

「為信殿。城とは、いつか落ちるものよ」

 早雲の指先から放たれたのは、自陣のゴール下から一気に敵陣を射抜く超長距離のアウトレットパス。

 その軌道は、まさに伊豆討ち入りの火牛の如く。ボールは津軽の「伝えの城」を頭越しに飛び越え、勝利を決定づける一点へと吸い込まれた。

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