4.
「ままは、となりのへやにいるとおもうよ。いく?」
「⋯⋯れ、⋯⋯すけ⋯⋯?」
「うん、そうだよ」
「⋯⋯」
そう呟いたきり、口を閉じた。
何か考えているのか、それともまだ頭が起きないのだろうか。
けれども、"たーちゃん"ままの次にぼくの名前を呼んでくれて嬉しかった。
ぼーっとしているらしい"たーちゃん"の様子を見ている時、おもむろに身体を起こした。
ようやく起きるようだ。
あ、だったらいま、いえるかな。
「ねぇ、たーちゃん。ぼくたちいいこにしてたから、さんたさんから、くりすますぷれぜんとがあるよ!」
ほら、と指差してみせる。
ところが"たーちゃん"はそちらに目線をやるものの、これといった反応をしない。
まだ寝ぼけているのだろうか。
「さんたさんだよ」
「⋯⋯⋯」
「たーちゃん?」
そこでぴくりと小さく反応を見せたかと思えば、"たーちゃん"は首を傾げた。
あれ? とぼくも一緒になって首を傾げることになった。
「たーちゃんがほしかったものってなあに?」
さらに首を傾げる。
サンタさんにお願いごとをしなかったのだろうか。
けどしなければこうして置かれてないはず。
「みたらわかるかも! あけてみよう!」
考えている様子の"たーちゃん"に半ば押しつけるように赤い袋を一つ渡した。
「なんだろうね」と言いながらルンルン気分で自分の分を開けた。
プラスチック製の長方形に路線図を背景に敬礼しているようなポーズをした車掌らしきキャラが描かれていた。
「これ、ほしかったやつだ!」
CMでよく流れていたこともあって、欲しくて欲しくてたまらなくて、観る度にままに「これほしい!」とねだっていた。
それに何より"たーちゃん"と遊びたいと思っていた。
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