5.
きっと楽しいだろうな、"たーちゃん"と一緒にゲームするの初めてだし、楽しみと心を弾ませつつも、「たーちゃんはなんだった?」と手元を見た。
両手で持てる程度の四角い箱にハニワが大きく描かれ、その上に『ハニワのピラミッドゲーム』と印字してあった。
ぼくも色んなハニワのグッズやオモチャを持っているけど、これは見たことがない。
「わぁ! たーちゃんがだいすきなはにわだよ! よかったね!」
羨ましいと"たーちゃん"が大好きなハニワのことを言うと、そこでようやく嬉しそうな顔を見せる。
喜んでいるようで良かった。
「ぼくはね、これ。いっしょにあそぼうね」
にこにこと見せる。けれども何なのか分かってない様子だった。
そういえば、いつも遊ぶ場所にもそれらしい物を見たことがなかった。
不思議そうにしていた"たーちゃん"だったけど、遊ぶことが嬉しいみたいでうんと大きく頷いた。
そんな"たーちゃん"にえへへ、と笑いかけた。
そこであ、と声を上げた。
わすれるところだった。
急に声を上げたから、"たーちゃん"はびっくりしているようで目を丸くしている様子に「ごめんね」と謝った。
「えとね、たーちゃんにぷれぜんとがあるんだ」
ぷれぜんと? と言いたげな顔をして首を傾げる"たーちゃん"に「はい」と渡した。
途端、眉をぎゅっと寄せて訝しんでいるようにじっと見つめた。
そんな"たーちゃん"に「くつしたのなかをみて」と促した。
一拍の後、中から折り畳まれた一枚の紙を取り出した"たーちゃん"は、警戒するようにじっと見ていたものの、それを広げ、口を動かした。
どうやら読んでいるようだった。
昨日も"たーちゃん"がボードで押したひらがなをぼくが声を発して教えた。ひと通りのひらがなを教えたから多分、分かるはず。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます