誰もがいつか輝きを失う [エッセイ]

玄 律暁(げんりつあき)

誰もがいつか輝きを失う[エッセイ]

● 誰もがいつか輝きをか失う (Everyone loses their shine someday)


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Stay gold, stay gold, stay young forever

We can be strong together

- Hi-Standard「Stay Gold」より


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歌にも歌われるように、多くの人々は輝き続けたいと考えるだろう。


「輝く」とは何かというと「活躍する」と言い換えれば良さそうだ。偉人のような輝きを見せて後世に名を残すようなことではない。それには運の要素も大きく関わってくる。


あなたも輝くことがこの先にあると思う。けれども忘れてはならない。


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Everyone loses their shine someday.

誰もがいつか輝きを失う。


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○1 2019年12月


何が起こったか、知らない人はいないだろう。


2019年末から約3年間コロナ禍は続いた。


コロナ禍よりも前に起きたパンデミックは知っているだろうか?


私が生まれてからコロナ禍までの間、パンデミックが起こるという予測は何度かあった。しかし世界規模のパンデミックとはならなかった。


では前回の世界的なパンデミックが起きたのはいつ、どんなものかご存知だろうか?


1918頃から2年間続いたスペインかぜだ。それは1世紀も前のことであり、その時の惨状は文献でしか当たることは不可能だ。1918年は100年も前のことだ。


だから人々は混乱した。今までに対峙したことのない出来事に狼狽えた。


そして、コロナ禍が起きた。


○2 映像メディア革命 1981年


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Video killed the radio star

Video killed the radio star

- The Buggles「Video Killed the Radio Star」より


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TVが発明されたこともとんでもない革命なのだけど、音楽の流れを追うと別の箇所で革命が起きたことを知っている。


「Video Killed the Radio Star」は、イギリスのニューウェーブバンド、The Bugglesによる楽曲である。この曲は音楽技術の進化がもたらす変化を象徴的に描いており、ビデオ(映像メディア)の登場によってラジオスター(音声メディアのスター)が時代遅れになっていく様子を歌っている。


MTVを知らない人はいるかもしれない。


1981年8月1日にアメリカで開局した音楽専門のケーブルテレビチャンネルであり、24時間体制でミュージックビデオを放送し、音楽業界……いや、メディア業界に革命をもたらした。その時期からアーティストのプロモーションには楽曲のみならず映像も含まれるようになり、メディアの楽しみ方そのものが大きく変化した。


ちなみに1981年8月1日午前0時01分開局して、最初にこの「Video Killed the Radio Star」が流された。非常に興味をそそられる事実だ。


https://www.youtube.com/watch?v=W8r-tXRLazs


上記URL先の楽曲が、 Video Killed the Radio Star だ。この曲知ってる、と思われる方は多いと思う。ビデオ時代の幕開けを象徴する存在となった。


文字通りラジオスターはビデオに殺された。


○3 MV ミュージックビデオが当たり前になる

そうして新しいメディアが誕生した、革命の時だ。今では当たり前のようにアーティストの音源には映像も付いてくる。必ずしも映像が必要だとは限らないが、あるに越したことはないだろう。しかし稀に音声のみがネット上のどこかで「バズる」こともある。これはなかなか狙ってできるものではない。


アーティストに対する「イメージ戦略」としてあえて映像を作らない、という手法もこれまで多く使われてきたと思われる。


そうやって新しい世代のアーティストが誕生する。そして、地位を追われる。


○4 映像メディア革命 2020年

勝手に「映像メディア革命」という言葉を使ったが、心当たりのある人もいると思う。


コロナ禍の期間に動画配信サービスが躍進し普及が加速、TV離れが進んだ、という見方もあるが、細かく書くとそうではない。


コロナ禍になってから実は一時的にTVの視聴率は上昇している。ニュースへの需要が高くなり、自宅で視聴する機会が少なかった人々がTVを観るようになった。


しかしそれは一時的な上昇に過ぎなかった。


その後、若年層世代を中心にインターネットをより活用することになり、その結果、徐々に動画配信やSNSサービスの利用が増加する要因となった。


結果的にTVの視聴率は低迷。


しかし、コロナ禍があってもなくても、いずれは同様の結果となっていただろう。


○5 コロナ禍の自殺

コロナ禍になって仕事を失ったタレント・芸能人は数知れない。TVでの仕事は減り、最近見ないな、という芸能人は多い。また、自殺が連続して続いたこともまた奇妙な年だった。


2020年7月に三浦春馬(享年30歳)と9月には芦名星(享年36歳)、そして竹内結子(享年40歳)が、それぞれ自殺した。


いずれも理由ははっきりしていない。そのため未だに憶測や黒い噂だとか陰謀論などは絶えることがない。


特に竹内結子さんが自殺を選ぶなんて全く信じられなかった。表向きに見せている姿からは想像ができなかった。亡くなり方の不自然さもある。


私は竹内結子さんの大ファンだったので大きなショックを受けた。


Everyone loses their shine someday.

彼女は輝きを失っただろうか?

そりゃ、若い頃と比較すると輝きも薄くなってしまうのは間違いない。けれども輝きを失ったかというと、全くそうは思えない。しかしご本人がどう考えていたのかは全く知る由もない。


それに、輝きを失ったから自殺したという理由以外も当然あり得ることだ。


Stay gold, stay gold, stay young forever

We can be strong together

輝き続けているように見えても、自分ではそういう風に見えないのだろう。どうしても若い頃を覚えているから、その時のパフォーマンスが出せないことは必ずある。これはどんな仕事をしている人も同じことだ。


○6 仕事を失った芸能人

わかりやすく誰でも知っていると思われる、石田純一の場合。


CM9社もあったが、年収3億円という時期もあった大物俳優だが、CMは1社だけとなり、事実上俳優業を引退。


そして生活のためにゴルフ会員権や車、家なども売却した。


とにかく働かないといけないと、千葉県船橋市で自身がオーナーを務める焼肉店「炭火焼肉ジュンチャン」を必死に経営している。週5回程度出勤し、自らホールで肉を焼いたり提供したり、お客さんとのコミュニケーションも積極的に行っているらしい。


2025年現在は72歳である石田純一。変わらずかっこいい姿であるし、尊敬に値する。


そして、石田純一ほどの大物芸能人が、こんな状況になってしまった話を聞くと、あのいつの間にかいなくなってしまった芸能人たちはどうしているのだろうと考えてしまう。


そして石田純一の子ども、いしだ壱成。


- 1995年 ひとつ屋根の下

- 1995年 未成年

- 1998年 聖者の行進


彼が出演したドラマは全てが大ヒットした。新潟県が誇る天才、野島伸司による作品の力も大いに関わっていることだろう。


私が13歳の時に聖者の行進を観たが、いしだ壱成は天才だと思い知らされた。このドラマは観れる機会があったら観たほうが良い。


しかし現在は、金がない金がないと、Youtubeで配信するただのおじさんになった。

……と、彼は自分自身で定義している。


見る限り相変わらずのカッコ良さである。クズっぽさは拭いきれないけれども。そこがまた良いと思う女性も存在するだろう。やはり、石田純一の息子だと思わされるルックス、カッコよさはとてつもない。だというのに……なかなか何もしないね。


自ら演出家に名乗り出て、俳優業に戻って欲しい。やりたくないのかもしれないけど。


自分自身を諦めているような感じがしてならない。


○7 輝きを取り戻せ! But it is possible to regain that shine.


北斗の拳の主題歌みたいなタイトルにしたけれども気にしないでほしい。


輝きはいつか失う。これは間違いない。ずっと輝き続けることはできない。


しかし、いしだ壱成が自分を「ただのおっさん」と定義するように、多くの人が自分自身を過小評価しているように思える。もっと自分の能力・才能・特技を洗い出して、定義をし直すべきだと私は考える。


これはいしだ壱成だけでなく、他の多くの人々にも言えることだ。


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しんどい時は恥ずかしいだとか考えずに心療内科・精神科で診てもらうべきだ。輝きを失うと、うつになる可能性が非常に高い。現代はそういう時代なのだ。


どうか輝きを取り戻すことを願っている。


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Everyone loses their shine someday. But it is possible to regain that shine.

誰もがいつかは輝きを失う。しかし、輝きを取り戻すことは出来る。


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