E p i s o d e .4

ーーーしょうがない、元々こうかる運命だったからーーー


俺は1人帰宅しながらぐちゃぐちゃな頭を整理しようと 深呼吸をした。

わかっていた、ずっと。

俺が 美希の優しさに依存していたこと。

俺が 美希の幸せを奪っていたこと。

それでも、その優しさに抗えなかったのは俺の弱さのせいだ。

スマホの画面を眺めると 美希からメールが来ていた。

[ゆきと、大丈夫?話どうだった?]

…………ありがとう、平気。

…………普通に生徒会の話だったよ。

色んな 理由をつくれるはずなのに俺はただ感情に任せてメッセージを打った。

[もう、関わらなくていいよ。今までありがとう]

送信を取り消そうかとも考えた。でもその前に美希が既読をつける方が早かった

[どういうこと?今、どこにいんの?迎えに行くから]

文章だけでもわかる。俺が一方的すぎるから美希は怒っている。

それでも 返信はせず既読だけつけて見てみぬフリをした。

家に帰ると すぐに部屋に戻り 天井を眺めるように寝転ぶ。

「……これで、よかったんだ」

自分勝手だとわかっている。

今まで 俺のせいで美希が苦労してきたことも。

それでも、呆れないでそばにいてくれたことも。

わかっている、わかっているんだ。全部、俺が1番近くで見てきたから。

スマホの電源を切り そのまま床で眠りにつく。

……明日の朝、目を覚まさなければいいのに

そんな 考えになるのは久しぶりだった。

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君限定に起きるバグ 冬彩 桜月 @touasatuki0820

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