E p i s o d e .3
ーーー私のおかげ。そうでしょ?秋月先輩ーーー
1ヶ月も経たないうちに 俺は 学校の人たちに無視されるのが慣れてきた。
美希は 俺の無実を必死に訴えているが誰も聞く耳を持たない。
みんなが望むのは共通の敵が生まれた時にできる絆なのか?
それともいつも目立っている人の弱みを握れたことの嬉しさなのか?
何を考えているのは分からないけれど 少なくとも俺を無視し
噂を広めるのは正義感だと思ってるのは分かる。
「……こんな噂広めてんの、誰だよ」
美希が苛立っている表情を見るのは初めてだった。
それくらい、美希もこの噂がストレスなんだろう。
でも、犯人が分からないからどうすることもできない。
それに 噂をなぜ広めたかも疑問だ。
「まぁ、でもそのうち みんな飽きるでしょ。
……それに、その傷が俺のせいなのも間違ってないし」
美希は一瞬 怒ったような顔をしたが 深呼吸しグッと堪えた。
「何度も言ってるけど、この傷とゆきとは関係ないでしょ」
このままでは喧嘩してしまいそうだと 美希から離れようとする。
そこにちょうど 生徒会に入っている1年生
小柄で可愛らしい見た目で守ってあげたくなると
男子たちに人気の子だ。噂ではファンクラブがあるとか。
まぁ、でも俺は 正直言ってこの子が苦手だ。いつも敵意丸出しで睨んでくるし。
「会長、今少しいいですか? 生徒会のことで相談したいことがあって……。」
俺は自然に見えるような笑みを作り 頷いた。
「じゃあ、体育館裏で待ってますね」
嬉しそうに笑って花吹は手を振り走って行く。
「……ふーん、ゆきとは王道系な子がタイプ?」
後ろから美希が拗ねたような声で聞いてくる。
「そんなわけないだろ、ただの生徒会の子って印象だし。
逆に美希こそ あの子みたいな子タイプなの?」
美希は「そんなわけない!」と即答した。まるでなにか焦ってるような感じで。
「とりあえず 体育館裏行ってくる。戻るの遅くなったら先帰っていいから」
俺は美希にそう伝えると花吹の待つ体育館裏へと向かった。
体育館裏では花吹が夕日を背にして立っている。
影のせいで表情はよく見えない。
「……生徒会の話って嘘だよね、本当の目的は何?」
花吹は首を傾げるような動きをした
「いつまで、秋月先輩を困らせるつもりですか?」
そして 花吹は続ける。
「秋月先輩を解放してください。秋月先輩はあなたといると不幸になるんだから」
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