第一話 ☓☓王国の破滅



ある年、その王国に厄災が降り注いだ。 大飢饉、地震、火災、噴火、大雨、台風とこれでもか、というほどに悪天候と災害に見舞われた。 当然、畑も住居もない。 食べるものもなければ、お金もない。着るものすらままならない。

何をしたらいいのかまともな判断すらできなくなっていた。

人々は絶望に打ちひしがれ、自殺する者もいた。

当時の人々は口々にこう言った。 「神々のお怒りに触れた。この国は終わりだ」  そんな事ない、と立ち上がろうとした一人の少女がいた。 「神々がお怒りならば、そのお怒りを鎮めるのが我が国民だろう?それなのに何故怯え、現実を見向きしないのだ?」

当然、批判された。

「神々のお怒りを鎮める?馬鹿馬鹿しい」 「お前みたいな少女に何ができるんだ」 「これ程迄の厄災で何が変わるという?」 それでも少女は前を向いていた。 どんな批判も、受け入れて。    「努力は何れ必ず報われるんだから!絶対この国をボクが救うんだ!だってこの国はボクが、大好きな人たちで溢れているから……!」

誰も彼女が成し遂げるなぞ、微塵も思っていなかった。「絶対できない」とすら思われていた。それくらいに、人々は絶望して、何も見えなくなっていた。自分達が生まれ育った国が、とんでもない大災害に蝕まれ、明日を生きているのかすら怪しい状態になったのだから。  

 どんなに苦しくとも、いつか努力が実をなすと信じて、行動した年若い少女。 もう無理だと、今現在の苦しみに囚われ、動かない国民。 一つでも、少しでも良くしようと動く少女はいつしか、崇拝され、尊敬された。 誰も動く事のできない中で、一人だけ王国の為にと直向きに努力を重ねた少女は、その先の未来で【神殺しの少女】と讃えられる事になる―  どんな困難が訪れようと、それを乗り越えて糧にしてみせた少女の物語だ。

君は果たして、それをどう見届ける?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神殺しの少女 みゆり @miyur

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ